~座りの科学とトータルデザイン+作り手と使い手とのギャップ~
(2019年9月12日 10:30〜12:30)
高齢ドライバーによる交通事故発生が問われる中で、この原因は、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違いによるものと言われている。果たしてそうなのか。現在はオートマ車の運転は当たり前であるが、従前は、クラッチを踏みながらギアを入れ変えて走行するマニュアル車であった。その結果、利便性を理由にオートマ車が普及し、左足を必要としない運転に変わった。このことが、運転時の身体バランス能力に負の影響を与えていることに気がつく人はいない。私は、オートマ運転の普及は、運転時の身体の左右バランス感覚を低減させるのではないかと心配してきた。人間の身体は上肢、下肢、目、耳などは左右一対の機能を備えていると考えられるため、身体の正中線と対としての機能に重要な意味があることを忘れてはならない。 これらを背景としてシートの在り方について原点に戻って見直すことが必要ではないかと真剣に考えている。一方で、AI自動運転に多くの関心と期待がもたれている。 近年、日常生活での着座姿勢は、人間の寿命を短くするという研究結果が発表され、座り作業の姿勢が悪もの扱いされている。人体の骨格、重心、姿勢などの観点からみると、座姿勢は身体に無理を強いる姿勢であることを繰り返し説いてきた。残念ながら、いす・シートづくりの世界にはその声が届いてこなかった。実に残念なことである。 真のシートづくりには、座りの基礎学を身につけ、身体で覚えて身体で評価 視覚遮断による評価、経験を経験値として表示できること、などが欠かせません。 本セミナーでは、座り姿勢として「シート作りとシート使い」を原点に戻って直視し、シート設計の在り方を「シートづくりの基礎」として論じる。
(2019年9月12日 13:20〜14:50)
自動車のシートには快適性に関わる重要な部品であるが、安全性や軽量化などとは異なり、乗員が自身の感覚で評価する性能である故の難しさがある。 本講演では、静的な座り心地、振動乗心地および温熱快適性の各領域について、深層学習の適用を含む快適性の定量評価手法や、CAEを用いた快適性性能予測・改善への取り組みについて紹介する。
(2019年9月12日 15:00〜16:30)
自動車を長時間運転するとドライバは疲労し、疲労蓄積は事故の原因となる。ドライバの運転疲労を低減することは、安全な運転を実現する上で重要な課題の一つである。ドライバの運転疲労を評価する手法について紹介すると共に、シートに取り付けた機械機構を用いることによるドライバの疲労低減手法についての研究内容を紹介する。