本セミナーでは、MOF (金属有機構造体) について基礎から解説し、合成の簡便化、形態制御技術、薄膜の形成手法、物性の評価方法など、実用化に向けた動向や、技術課題について詳解いたします。
(2019年9月4日 10:00〜11:30)
PCP/MOFの多孔性の発見から20年が経ち、ガス分離だけではなく、電子材料、触媒、医薬等への応用が広がっている。論文、プレスリリースでは、新しい用途、革新的な性能が報じられるが、論文の追試をしても、特性が再現できないことも少なくない。また、馴染みの無い新しい材料であるため、安定性、コスト等、不明点も多い。本講演では、主としてPCP/MOFの研究をこれから始める方、始めたが取り扱い等基本的な部分でお困りの方を対象に、合成、解析の基礎から、用途、実用化検討例等を概説する。
(2019年9月4日 12:10〜13:40)
MOFに代表されるフレームワーク構造化合物は、ミクロからメソスケールの空孔を特徴とする化合物群であり、ガス分離・貯蔵や触媒として広く研究されている。このような化合物のミクロ孔を化学修飾することで、ホスト – ゲストアプローチによる電子あるいは光機能化が近年注目を集めている。MOF中では、ゲストの機能性物質の方位や配列を制御できることから、大幅な機能向上が期待されている。効率よく機能を向上させるためには、実用上十分な空間スケール (cm以上) で、MOFの結晶方位を規定することが必須である。 我々の研究グループで最近報告した、無機ナノ結晶表面におけるMOFのヘテロエピタキシャル成長を用いることで、完全に配向したMOF薄膜が実現できる。本講演では、配向MOF薄膜の合成法やその応用について詳しく解説する。
(2019年9月4日 13:50〜15:20)
MOFはこれまでの現行の多孔体と比較して、高い構造設計性を有していることが大きな利点であるが、その設計・合成にはまだまだ多くの問題点がある。 本稿では、後修飾法とよばれる手法の紹介およびそれを用いた機能性MOFの合成について紹介する。
(2019年9月4日 15:30〜17:00)
結晶性多孔質材料の一種である金属有機構造体 (MOF) は、分離、貯蔵、触媒反応をはじめとして広範な研究分野を創出しながら進展している。MOFは高い規則構造と均一な細孔をもつため、結晶間に空隙が存在しない (緻密な) 膜を作製すれば分子ふるい作用による膜分離が期待できる。本講演ではMOFの合成や特徴を述べ、吸着や膜分離としての応用について今後の見通しを含めて解説する。 MOFの合成と基本物性を把握したい方、これからMOFの研究を始める方から、始めてみたがその合成に困っている方、MOFの用途展開の問題を解決したい方などを主たる対象として議論します。