第1部 自動車の振動、騒音発生メカニズムと高周波車内騒音の予測、対策
(2019年9月11日 10:00〜12:00)
自動車のEV/HEV化によりエンジン騒音が少なくなり、ユーザーの車内静粛性に対する要望は高まっている。特に、ガソリンエンジン車に比べ、タイヤからのパターンノイズ (空気伝搬音) や高速走行時の風切り音等の高周波車内騒音は目立ってしまい、低減が必要不可欠である。また、国連の走行騒音規制の導入に伴い、車外騒音の低減が急務である。タイヤのパターンノイズ等の低減が必須であるが、タイヤまわりの防音材による吸音対策も重要である。これらを踏まえ、高周波 (200Hz~5000Hz) の騒音を低減可能な防音材の予測技術と対策手段・解析結果について解説する。
- 自動車の騒音について
- 自動車の主な振動騒音源
- 自動車の主な騒音現象
- 積層防音材の吸音・遮音解析
- 吸音とは、遮音とは
- 解析手法 (伝達マトリックス法)
- 解析ツールの紹介と様々な積層防音材の計算結果
- 最適積層構造の検討
- 防音材が積層された自動車パネルや車室空間の吸音材の有限要素解析
- フロアパネルまわりの防音構造
- 防音材 (多孔体) の効果
- 解析手法 (多孔体内部空気の数式化) と実験検証結果
- 車室空間の吸音材の最適配置検討
- ハイブリッドSEAを用いた風切り音を含む車内音予測手法
- SEA (統計的エネルギー手法) とは
- 実験・解析手順
- 要因分析結果・寄与度解析結果と風音の影響
- 自動車防遮音材の軽量化検討結果
第2部 自動車の制振・防音対策技術
(2019年9月11日 12:45〜14:45)
はじめに自動車の振動騒音に関する基礎事項を説明し、その対策としての制振防音技術について説明する。自動車用構造と組合せた場合の制振防音特性について解説し、実際の性能向上検討例を紹介する。更に生産ラインにおける施工要件と耐久性についても言及する。新しい技術として波動ブラックホールや屈折を利用した遮音構造も紹介する。
- 自動車における振動騒音現象と制振防音材料の役割り
- 振動騒音現象の例とその対策
- 制振防音の対象部位
- 制振構造の基本特性
- 材料の制振性能
- 板と制振材とを組み合わせた場合の制振特性
- 平板+制振材
- 補強された板+制振材
- フレーム構造+制振材
- 構造自身の減衰の影響
- 波動ブラックホール
- 自動車用制振材の要求性能
- 車体パネル+多孔質材+内装材、表皮材の防音特性と要求性能
- 板の遮音性能
- 板+多孔質材の吸音、遮音性能
- 板+多孔質材+内装材の吸音、遮音性能
- 屈折を利用した遮音構造
- 自動車用防音材の要求性能
第3部 流れに起因する自動車室内の騒音予測
(2019年9月11日 15:00〜17:00)
空力騒音の発生機構について学び、自動車の騒音問題に対する素養を深める.実験方法と数値解析手法について具体的に説明し、車両開発に活かせるようにする.車内騒音解析の最新事例、京を用いた解析事例を紹介する。
- 空力騒音の基礎
- Lighthillの理論 (音の発生メカニズム)
- 空力騒音の速度依存性 (6乗則と8乗則)
- 空力音の指向特性
- Lighthillの功績 (ジェットエンジン騒音の低減)
- 空力騒音の予測手法
- Curleの理論 (圧力変動をもとにした解析)
- 渦音の理論 (渦の非定常運動に基づく解析)
- 実験解析技術の実例
- 解析事例 (数値解析技術の紹介)
- 基礎形状からの音
- ドアミラー騒音 (空力・音響フィードバック音)
- フロントグリル騒音 (音響共鳴音)
- ファン騒音