(2019年9月10日 9:50〜12:20)
プラスチックの大半は誘電体であり、そのままでは簡単に帯電する。帯電現象については金属でその機構が解明されているが、半導体から絶縁体領域の材料について科学的な解明がなされていない。すなわち、帯電防止技術は、形式知が不十分な分野で経験知が活用されている技術領域である。帯電現象は一般に厄介者の扱いとなるが、一方で材料の帯電現象を機能性材料として活用してきた分野もある。例えばカラーレーザープリンターやカラー複写機には、中間転写ベルトというフィルム材料 (半導体ベルト) が使われていて、このフィルムを帯電させてYMCKの感光体ドラムに同じく静電気で付着しているトナーをフィルム上に集め、紙に転写する情報を一旦このフィルムに描いている。この機能性フィルムは帯電しやすく放電しやすいという二律背反の電気特性が必要で、経験知で設計されてきた。実は30年前に電気粘性流体のブームがあったときにもこの帯電しやすく放電しやすい材料が必要だった。講演者はいち早く傾斜機能材料を設計し実用的な電気粘性流体を開発しているが、この材料設計の時に経験知は無く、形式知から仮説を設定し問題解決している。すなわち、経験知に頼らなければいけない分野でも形式知をある程度活かして使える。 本セミナーでは、経験知が求められる帯電防止技術について技術の解説にとどまらず、問題解決手法まで解説する。そして今通信分野の5Gで求められているフィルム設計の方向についても一部アイデアを提案する。
(2019年9月10日 13:00〜14:00)
帯電防止剤の特徴から生じるブリードアウトおよび脱落現象、それらのメカニズム、 分析方法、そして 対策について解説する。