本セミナーでは、異種材料の接着・接合の基礎から解説し、界面での現象、シミュレーションを用いた接着・密着強度の予測技術を詳解いたします。
(2019年8月23日 10:00〜11:30)
ゴム・樹脂材料の多くは、単独では強度が弱いため補強して使用される。金属、セラミックス、繊維および木材などの材料はエラストマー・樹脂材料の有効な補強材であるが、この補強化技術の一つに接合、接着がある 。工業機能部品、電子電気部品、塗料部品などプラスチックやタイヤ、ベルト、防振ゴム、免震ゴム及び工業機能ゴム製品などの多くのもの作りは接合技術を用いて製造されている。もの作りでは製品設計,生産加工技術そして機能性を発現させるために接合技術が重要な役割を担っている。 本講座では、異種材料の接合について、主として材料の表面界面制御が接合の信頼性を高める上で重要であることを説明し、実践的な内容と考え方を解説する。シランカップリング剤の反応に影響を与える因子とその評価方法について解説した上で、洗浄工程における重要性をXPS、接触角測定、FT – IR測定によって材料の表面を分析し、材料表面状態に及ぼすシランカップリング剤の反応条件と接着力の影響、シランカップリング剤の金属表面処理方法について事例を交えて紹介する。さらに、接着メカニズムを理解する上で、接合物界面をAFMとFT – IRを複合化した分析装置 (AFM – nnoIR) (赤外スペクトル、赤外吸収マップ、AFM像測定) そしてAFMと局所熱分析を複合化した分析装置 (AFM – TA) を用いてのナノオーダーでの局所分析にも言及したい。
(2019年8月23日 12:10〜13:40)
異材接合材料では、界面結合力のみならず接合界面周辺の力学的特性を把握することが重要となる。本講演では、異材接合界面端部近傍の力学的パラメータに基づく強度評価について解説する。あわせて、セラミックを含んだ異材接合体強度の高度化手法や界面の信頼性評価に関する研究例を紹介する。 異材接合の強度や破壊に関する解析事例および最新事例を紹介する。異材接合界面端部近傍の力学的特性の解説を行う。
(2019年8月23日 13:50〜15:20)
(2019年8月23日 15:30〜17:00)
金属 – 樹脂間の接着力に関するこれまでのシミュレーションは、実験値よりも1桁も大きな結果を示し、信頼性がなかった。しかし、スパコンのメニーコア型への発展及びそれを活用する計算法の考案により、接着力に関する電子レベルからの第一原理的シミュレーションが可能となりつつある。 スパコン上での大規模なシミュレーションにより、実験結果と直接比較できる精度で理論的に接着力を再現することに初めて成功し、さらに長年の問題である水分含有による接着力低下現象に理論的に取り組めるようになっている。本講演は、上記をわかりやすく概説する。