ポリ乳酸の高性能化

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本セミナーでは結晶性高分子の代表例としてPLA (ポリ乳酸:polylactic acid、polylactide) に焦点をあてて、PLA固有の欠点である極めて遅い結晶化速度を向上させる全ての要素技術 – D体共重合比や分子量、各種添加剤 (造核剤、結晶化促進剤、マルチ機能改質剤) – を総括。結晶性高分子の高性能化材料設計 (分子設計/配合設計) 技術の最前線を踏査いたします。

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プログラム

結晶性高分子はその成形加工工程で結晶化することにより、その高分子固有の潜在的性能としての熱的・機械的特性等を発現することができる。しかるに、ポリ乳酸 (PLA) に代表される結晶化速度の遅い結晶性高分子は、その成形加工工程で十分に結晶化が進まないために成形加工性に劣り、得られる成形品は耐熱性や寸法安定性 (低い熱収縮率や経時安定性) 、耐衝撃性等に劣る。  本セミナーでは結晶性高分子の代表例としてPLAを取り上げ、PLA固有の欠点である極めて遅い結晶化速度を飛躍的に (2桁) 向上させる全ての要素技術、即ちD体共重合比や分子量、各種添加剤 (造核剤、結晶化促進剤、マルチ機能改質剤) を総括し、結晶性高分子の高性能化材料設計 (分子設計/配合設計) 技術の最前線を踏査することを目的とする。  1980年代の後半より今日までの30年間有余、産学両分野でPLAを中心とする生分解性プラスチックの基礎研究から技術・事業開発までを世界に先駆け成し遂げた講師による渾身のセミナーである

  1. はじめに
    1. 科学と技術の狭間で…固と全体の問題
      1. 自然農法主宰者、福岡正信の呟きに耳を傾ける
      2. アカデミアの世界では…特定の要素・要因のみを取り上げ、それが高レベルであることを強調する研究報告が目白押し
      3. 技術の世界では…要素間の相互作用から免れることはできず、各要素は独立に振舞うことはできない
      4. 線形科学から非線形科学へ…ミクロな要素分析的アプローチである科学からの脱却と構成要素間の相互作用から生まれる 技術を重視する視点への転換
    2. 深刻化する海洋プラスチック汚染問題
      1. 生分解性プラスチックが果たす決定的に重要な役割…海洋プラ濃度の経年変化 (累積増加) 曲線
      2. 海洋汚染問題に対する短期的視点と長期的 (グローバルな) 視点
      3. 海洋に流入する流木・草本類…マイクロチップは太古の昔より存在した!?
      4. 海洋自然生態系が許容し得る海水中の生分解速度とは…ポジティブ・コントロールはリグニン?
  2. 結晶性高分子の結晶化ダイナミクス
    - ポリ乳酸を例に、結晶性高分子の結晶化理論と実際を徹底理解
    1. 脂肪族ポリエステルの一次構造と熱的・機械的特性
      1. ポリ (α-オキシ酸) …PGA, PLA
      2. ポリ (β-オキシ酸) …PHA (PHB, PHBV, PHBH)
      3. ジオール/ジカルボン酸の重縮合体…PES, PBS, PBAT
    2. 成形加工工程における結晶化の分類
      1. Melt Crystallization (メルトから室温下への降温冷却過程における結晶化) …押出成形、射出成形、ダイレクト・ブロー成形
      2. Cold Crystallization (室温からの加熱昇温過程における結晶化) …真空・圧空成形、発泡成形、インジェクション・ブロー成形
    3. 等温結晶化
      1. 結晶化速度式G=G0exp (-ED/RT-KTm/RT (Tm-T) の物理的意味
      2. 第一項:セグメントの拡散過程…温度と正の相関
      3. 第二項:核形成過程…温度と負の相関
      4. 最も結晶化速度の速い結晶化温度Tc (Tg < Tc
      5. 結晶化速度パラメータ…ts, t1/2, te, kの算出法
    4. 非等温結晶化…冷却速度が結晶化温度や結晶化度に及ぼす影響
    5. 結晶化速度に影響を及ぼす因子
      1. 一次構造…PLAのD体共重合比 (%D) が結晶化速度に及ぼす影響
      2. 分子量
      3. 造核剤や結晶化促進剤 (架橋剤、可塑剤、マルチ機能改質剤)
    6. 結晶化速度が遅い場合に顕在化する問題点
      1. 冷却・固化未達…Tg<室温の場合、ゴム状態のままで粘着感残留
      2. 耐熱性不足:低い熱変形温度
      3. 力学特性未達…低強度、低弾性率
      4. 寸法安定性不良…高い熱収縮率
      5. 成形サイクル…遅延
      6. 二次結晶化…室温放置下での経時変化 (形状、物性)
  3. 結晶性高分子の成形加工性
    -熱的・機械的特性がいかに優れていても成形加工性が不良では使い物にならない
    1. 成形加工性の物理的意味…溶融体から室温下への冷却・固化賦形工程におけるガラス化又は結晶化
    2. 成形加工性支配因子
      1. 溶融押出過程…溶融粘度、溶融張力の分子量依存性
      2. 高粘度…押出成形 (フィルム、シート) 、発泡成形、ダイレクト・ブロー成形
      3. 中粘度…繊維、射出成形
      4. 低粘度…スパンボンド、メルトブローン、薄肉射出成形
      5. 冷却固化過程…Tg又は結晶化速度 (冷却速度、変形速度依存性)
      6. 室温
      7. Tg<室温の場合 ⇒ 結晶化速度…室温下への冷却過程で結晶化が必須
      8. ケース・スタディ…微生物産生ポリエステル (PHA) 系
    3. 成形加工性改良剤
      1. 溶融粘度、溶融張力調整剤
      2. 増粘剤…エポキシ基含有反応性改質剤、架橋剤 (有機過酸化物)
      3. 流動性改良剤、粘度低減剤…ポリグリセリン脂肪酸エステル
      4. 結晶化促進剤…造核剤、可塑剤又は結晶化速度向上剤、マルチ機能改質剤
  4. 添加剤による高性能・高機能化材料設計
    -ポリ乳酸固有の欠点を改良するために避けられない添加剤による改良技術
    1. 耐熱性…荷重たわみ温度 (DTUL) 又は熱変形温度 (HDT)
      1. 非晶性高分子…耐熱性≒Tg
      2. 結晶性高分子…Tg<耐熱性
      3. 結晶化促進剤…造核剤、可塑剤又は結晶化速度向上剤、高分子界面活性剤
      4. 透明耐熱性 (透明結晶化) …通常の分散型造核剤ではなく溶解型造核剤
    2. 耐衝撃性…添加改良剤のタイプと作用機序
      タイプ 具体例 相溶性 TgやTmへの影響
      A 可塑剤 優 低下
      B ブロック共重合体、高分子界面活性剤 良 なし
    3. 耐熱性と耐衝撃性の同時改良添加剤としての高分子界面活性剤とその発現機構
      1. 高分子界面活性剤…ポリグリセリン脂肪酸エステル (PGFE)
      2. PGFEのマルチ機能改質効果
      3. 分散安定剤→固体フィラー分散性向上効果
      4. 流動性改良剤→溶融粘度、混錬・押出しトルク低減効果
      5. 可塑剤・耐衝撃性改良剤→可塑化・耐衝撃性向上効果
      6. 結晶化促進剤→耐熱性 (透明耐熱性を含む) と成形加工性改良効果
    4. 寸法安定性…低熱収縮率、二次結晶化防止
  5. 質疑応答 (名刺交換)

会場

品川区立総合区民会館 きゅりあん
140-0011 東京都 品川区 東大井5丁目18-1
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