技術者の文章は、技術内容を早く間違いなく伝えるためにある。そして、文章を作ることは、考えをまとめるだけでなく、思索によってさらに考えを深めることである。すなわち技術者にとって極めて重要な知的生産作業である。基本的な文章作成の考え方から技術者として必要な文書の作成方法まで、実例を挙げながら説明する。顧客向け、製作者向け、社内向け、そして業界向けの文書作成と添削指導を行ってきた経験に基づいて分かりやすく解説する。 本講では、まず、文章書きの基本的なスキルを述べる。その上で、打合せ議事録、トラブル報告書、実験報告書、各種の提案書、謝罪文など、仕事で用いられる内部文書に加え、論文、投稿記事、取り扱い説明書、納入仕様書、購入仕様書など外部に提出する技術資料を念頭に置いて文章の書き方を示す。受講生には、多くの添削事例を提示しながら、どうすればより良い文章を書けるかを一緒に考えていただく。また、理解を深めるために文章作成および間違い探しの演習を織り込む。テキストは読みやすく例文と役立つ資料が豊富な書籍になっており、おさらいと実務時の教科書になる。