2018年6月、食品衛生法の改正が公布された。食品用器具・容器包装の安全性の確保や規制の国際的整合性の確保のため、人の健康を損なうおそれがない場合を除き、合成樹脂等を対象として、規格が定められていない原材料を使用した器具・容器包装を販売等してはならないこととするとともに、製造者は、適正製造管理規範を遵守しなければならないこととなった。
改正法公布後検討されたポジティブリスト制度の具体的な仕組み及びスケジュールについて説明する。具体的な仕組みとして、ポジティブリストの対象となる物質、リスク管理、事業者間での情報伝達の検討、及び食品用器具及び容器包装に関する健康評価指針 (溶出試験、食事中濃度、毒性試験、リスク判定等) 案が作成された。
本講座では、日本、欧州、米国の容器包装規制、及び安全性試験・評価について説明し、その違いについて述べる。欧州では、食品用器具・容器包装の3つのEU指令が統合されEU規則 (通称プラスチック規則) となり、ポジティブリスト、疑似溶媒、適合性テスト (成分移行試験) などが刷新されている。この欧州規則への適合性の確認手順について概説する。米国での容器包装の衛生法規 (食品医薬品化粧品法) 及び連邦規則集掲載のポジティブリスト及び規格 (プラスチック個別規格、紙・板紙、添加剤等) 、移行量試験について概説する。また、欧州、米国の新規物質申請制度及び安全性に関する考え方について説明する。最後に、日本・欧州・米国の法規の違いについて概説し、今後の食品衛生法の動向について述べる。
- 日本における容器包装規制・自主基準
- 食品衛生法における容器包装の法規制
- 食品衛生法概要
- 容器包装の法規制
- 容器包装の規格基準および試験方法
- 乳および乳製品の成分規格
- 業界自主基準
- 合成樹脂および添加剤に関する自主基準
- 乳容器、印刷インキ、接着剤、石油ワックスに関する自主基準
- 食品衛生法改正
- 食品衛生法改正内容 (ポジティブリスト制度、その他)
- 改正法条文
- ポジティブリスト制度の具体的な仕組みの検討
- ポジティブリストの対象となる物質
- リスク管理
- 事業者間の情報伝達
- 食品用器具及び容器包装に関する健康評価指針 (案)
- 溶出試験 (案) 食事中濃度 (案)
- 毒性試験 (案)
- リスク判定
- 欧州における容器包装の法規制
- EUにおける法規制
- 総括的規則
- アクティブ
- インテリジェント材料
- トレーサビリティ等
- 食品に接触することを意図するプラスチック材料及び製品の欧州規則 (プラスチック規則)
- 化学物質ポジティブリスト
- 認可されたモノマー、他の出発物質、微生物醗酵高分子、添加剤及び重合助剤
- 化学物質のグループ規制
- 材料及び製品への規制
- 食品疑似溶媒
- 適合宣言
- 適合試験
- 特殊移行量試験
- 総移行量試験
- 換算係数 (FRF)
- 多層材料及び製品のEU規則
- プラスチック規則のガイドライン
- プラスチック規則の全般的なガイドライン
- サプライ・チェーンにおける情報に関するガイドライン
- 新規物質の申請ガイドライン
- 安全性評価
- 米国における法規制と安全性試験・評価
- 米国における法規制
- 連邦食品医薬品化粧品法 (FFDCA)
- 容器包装関連の連邦規則集
- ポジティブリスト
- 間接食品添加物
- 間接食品添加物
- 間接食品添加物
- ポリマー
- オレフィンポリマー、ナイロン、PET、ポリスチレン等の概説
- 間接食品添加物:添加物、製造助剤、殺菌剤
- FCN認可申請制度 (上市前届出制度)
- 安全性試験
- 多層構成の米国規制
- FDA認可申請制度
- 安全性評価
- 日・米・欧の比較
- ポジティブリスト制度
- 溶出試験基準
- 新規物質申請制度
- 安全性評価
- 器具・容器包装の安全性を確保するための規制・基準