(2019年8月5日 10:00〜12:00)
医薬品をはじめとして、新規な有機化合物の研究開発を進める際には、結晶多形現象に遭遇することが多い。しかし、この分野は学際領域でもあるので体系立てて学習するための成書も多くはない。 そこで本講では、まず結晶多形現象の基礎について概説し、特に結晶多形現象を考察する上で重要な結晶核の生成に関する考え方を紹介する。次に、開発形結晶を選定するためのスクリーニング技術の現状や安定形結晶に対する考え方について述べる。さらに、新規化合物を開発する過程でのlate-appearing polymorphやdisappearing polymorphの事例を紹介し、どのようなトラブルにつながるかを述べ、その対応についても触れる。
(2019年8月5日 12:45〜14:45)
医薬品開発過程において遭遇する結晶多形の問題は、教科書に書いてあるような単純なものではないことが多い。その理解と解決のためには、評価の背景にある理論をふまえ、化合物の物性に応じた適切な評価法を選択し、得られた結果をみて総合的に判断しなければならない。 本講座においては、各評価法の背景にある熱力学を数式を用いずに簡単に解説したのち、評価法の詳細やコツについて説明する。また結晶多形が物性に与える影響についても解説する。
(2019年8月5日 15:00〜17:00)
晶析とそれに続く固液分離 (濾過) は化学製品の製造ではごく普通に行われる操作である。晶析プロセスでは不純物とともに、結晶の物理特性を管理して目的とする結晶を製造する必要がある。物理特性の制御がうまくできなければその後の固液分離 (遠心脱水) 工程や品質に影響を及ぼすことがある。例えば濾過性の悪い結晶は精製効果が得られず、品質だけでなく作業性にも影響が出る。逆に濾過性のよい結晶でも、溶媒和物、水和物が生成すれば乾燥工程に影響する場合がある。 本セミナーでは,晶析に関する基本的な事項、注意点を説明した後、具体的な事例を参考にスケールアップの過程で遭遇した結晶多形、類縁物質、溶媒和物、水和物等、晶析が絡む種々の問題点を説明し、更にどのように解決して商用生産に至ったかを実験方法も含めて解説する。