薄膜の密着性を改善するためには薄膜あるいは界面の特性をよくすればよい。しかし、どれだけよくすれば効果が現れるのか判断することが難しい。意外に知られていないことが、密着性は破壊現象の測定であってそのメカニズムによって臨界値が変わることです。そして、他人のデータ (他の装置の結果) を利用することはもっと難しいことです。
自分で密着性の測定を行うに当たって特に注意するべき点を紹介します。また、密着性と関係が深い内部応力などの性質や、そうした力学的性質を通して膜の壊れ方の多様性、ひいては良質の膜をつくる技術を学びます。
- 膜内の応力
- 熱応力と真性応力~固体薄膜の力学
- マクロな変形とStoneyの式
- ミクロな測定技術~ラマン分光、薄膜X線回折
- 内部応力を下げればよいか? (多層化、端面構造)
- 結晶配向性も影響する
- 硬さと靭性 (どこまで耐えられるか)
- 超微小硬さ測定~構造欠陥と硬さ
- ハードコーティングは耐腐食性にある!
- 薄膜の密着性
- 表面エネルギー (表面張力) と付着
- 密着性とは (剥離損傷・耐久性・寿命)
- (機械的) 密着性の測り方とそのポイント
- ピール
- プル
- スクラッチ
- インデンテーション
- 3点-4点-曲げ試験
- 故障解析からの密着性評価とワイブル分布
- 密着性を改善する手段~特にプラズマ援用技術
- 異種材料接合部の力学 ( Dundurs の基準)
- スクラッチ試験 ~振動式マイクロスクラッチ試験
- 圧子荷重・せん断応力・界面エネルギー
- 試験条件および再現性と信頼性
- スクラッチの物理と破壊力学・刺激部の深さ変化
- 光学薄膜と振動式スクラッチ試験 JIS R3255
- 他の密着性試験との相関 (臨界損傷の違い)
- 軟質膜および粘性膜への応用
- 窒化チタン膜の製膜技術の発展
- 製膜技術と薄膜構造
- 注目すべき大電力スパッタリング技術