桶狭間的創薬のススメ

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本セミナーでは、日本製薬企業が生き残る道としてニッチを攻め、逆転を狙う戦略的創薬について詳解いたします。

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プログラム

桶狭間的創薬とは、狭間 (ニッチ) を攻め、逆転をねらう 戦略的創薬です。
杉本先生による、ファルマシア巻頭言がはじまりです。歴史には多くのヒントが埋まっています。
地の利と時を生かした奇策によって、一発逆転を狙う あきらめない創薬のヒントを学びましょう。

第1部 薬物動態から見た創薬 :創薬に役立つ薬物代謝の知識 (10:30~11:45)

北海道大学 名誉教授
鎌滝 哲也 氏

薬物動態の新薬開発における重要性は年と共に大きくなっている。ここでは、薬物動態の基本に戻って、今後さらに応用できると思われる、新薬開発に役立つ知識について述べて見たい。

  1. 薬物代謝の基礎知識
  2. 創薬に有用な薬物代謝の知識
    1. 生薬に学ぶプロドラッグの設計
    2. アンテドラッグの概念の活用
    3. 薬物相互作用の評価:酵素誘導や酵素阻害とその評価
    4. 薬物代謝酵素の遺伝的多型と創薬における注意点
  3. まだ解決できない問題点
    1. 経口剤の吸収の予測
    2. 動物種差と性差などの評価

第2部 ガスモチン創薬回顧 :小さなグループでの創薬 (12:30~13:45)

大日本住友製薬(株)
山本香料(株)
賀登 志朗 氏

 消化管運動促進剤ガスモチンは、副作用に繋がるドーパミンD2受容体遮断作用がなく、かつ、心電図QT間隔延長の懸念がない世界初の選択的セロトニン5-HT4受容体アゴニストである。  この講演にて、ガスモチン創製までの経緯を述べる予定である。

  1. ガスモチンについて
    1. 慢性胃炎など疾病の説明
    2. 胃運動促進作用の説明
    3. 消化管促進剤の説明
  2. ガスモチンの誕生経緯
    1. ガスモチン創薬の発端や開発史
    2. 薬理評価系の構築や説明
    3. 構造活性相関
  3. ガスモチンの薬効とそのメカニズム
    1. セロトニン受容体について
    2. セロトニン5-HT4受容体について
    3. ドーパミンD2受容体遮断作用の欠如について
    4. 心電図QT間隔延長作用の欠如について
  4. ガスモチン開発後の研究
    1. ガスモチンアミン部分のモルホリン骨格の構造活性相関
    2. 光学活性体の合成と活性
    3. ガスモチン以後の探索研究

第3部 フィズリン/トルバプタン創薬秘話 (14:00~15:15)

大塚製薬(株) Qs’研究所 合成室 室長
小川 英則 氏

 生体は、濃厚な水溶液であり、その濃度を調節する緻密な機構を持っている。しかし、ときに破綻をきたすことがあり、病的状態に陥る。そ  こからの回復を手助けできる薬物として、フィズリンを送り出すことができた。この創薬について講演する。

  1. 従来型 (塩類排泄型) 利尿剤と水利尿剤の特徴について
  2. 研究開始時におけるバソプレシン拮抗物質の情報
  3. 低分子化合物でのリード探索
  4. V2受容体親和性向上のための構造活性相関
    1. リガンドからの活性コンフォーマーの推定
    2. 活性コンフォーマーを利用するドラッグデザイン
  5. 経口投与による活性向上のための変換
    • キーワードはやはり “水” …
  6. フィズリンの合成
  7. 今後の展望

第4部 鉄触媒反応の開発秘話 (15:25~16:40)

京都大学 化学研究所 附属元素科学国際研究センター
教授 中村 正治 氏

 鉄触媒を用いる精密有機合成反応が最近注目を集めている。鉄元素が持つ「安価、安全、安心」という特徴に加え、パラジウムなどの希少金属触媒にはない反応性を示すことがその理由であろう。  講演では,演者らの研究グループにおける鉄触媒クロスカップリング反応の開発について,その経緯と最近の進展をお話しさせて頂く。

第5部 アドレス+メッセージ創薬のすすめ :小分子に秘められた創薬力 (16:50~17:30)

高崎健康福祉大学 薬学部 創薬科学系 創薬支援化学研究室 教授
元 大塚製薬 (株) 医薬生産部 主任研究員
鳥澤 保廣 氏

  1. 創薬への洞察
    • 薬ほど魅力ある有機化合物はない。もしその構造式から薬の機能を読みとることができるのなら、化学者冥利につきる。そういう機能を考える化学的洞察力は、創薬への重要な手引きとなりうるので、ここにその試みの一端を紹介する。 創薬の実現のために、基本構造単位 (フラグメント) の機能を重視し、それらを巧妙に組み上げる手法は最近では、FBDD (フラグメントからの創薬=小分子からの創薬) とも呼ばれているが、過去の古典的創薬の成功例はおおむねそういう洞察に基づくものであった。 複素環骨格の中でも、キノリン、キノロン、イソキノリン類は代表的双環アザサイクルであり、頻出構造 (プレビレジド・ストラクチャー) と認識されている。特に、2-キノリノン (=カルボスチリル) 構造にフォーカスを当てた総説類はその巧妙な活用を理解する一助になっている。
      以下の章では、カルボスチリルや、関連する含窒素6員環構造を有する医薬品の化学構造と創薬機能についての解析を試みた結果を簡単にまとめておく。
  2. アドレス・メッセージ セオリー
    • 哲学者デカルトは『むずかしい問題は、小さく分けて考えなさい』という名言を残している。 医薬品はその分子全体で機能するから、それを分断したフラグメントに分けることは邪道かもしれない。しかし酵素や受容体などは、フラグメント構造が総合的に機能するかたちで理解されている。 医薬品分子の機能を考える手法に、アドレス・メッセージセオリーがある。長瀬教授らの最近の総説にまとめられているとおり、モルヒネの創薬研究を総括する考え方である。
    • 本講演では、いくつかの興味ある医薬品についてのアドレス・メッセージ創薬解析について解説する。
      具体的には、ブスピロンとアリピプラゾールの比較、イリノテカンとトポテカンの比較、フェンタニルとオキシコドンの比較、NSAIDs系医薬品の比較からの考察について、議論する。

※各部1時間ほどの講演時間にて上記タイムスケジュールを予定いたしておりますが、ディスカッションを交え、進行いたしますので、
変更になる場合がございます。ご了承ください。

会場

キャンパスプラザ京都
600-8216 京都府 京都市 下京区西洞院通塩小路下る東塩小路町939
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