我々は、金属、プラスチック等の多様な材料からなる道具を使用しています。道具は使える状態が当たり前であり、その構成材料の劣化により、機能低下、あるいは、使用不能となると困ってしまいます。とはいえ、道具も経済的要素の一つであるため、適正な価格で妥当な使用寿命を設計する必要があります。そのため、材料および道具の機能低下 (劣化) の過程を理解して耐久性を評価し、適切な材料を採用した道具の設計が必要となるわけです。【破壊現象の理解の困難さ?】多々ある機能の中で道具を構成した状態を維持するための力学特性が基本であり、その劣化の理解には材料力学、構造力学、破壊工学等の広範な知識が必要となります。さらに、少ないサンプリング数で偶発的に生じる破壊を評価するためには、統計的な処理も必須となります。
しかし、個々の要素技術の基本をイメージとして捉えて全体像をザックリと捕まえることができれば、理解は一気に容易になるのです。
本講座では、力学的な特性の劣化について、材料の破壊という観点から、材料力学及び破壊工学的な考え方をベースにして、理解することから始めます。統計的な考え方についても、基本的な概念の確認を行い、本質的な理解を深めます。上記の基礎的事項の知識を用いて材料の力学的耐久性の具体的な評価方法を確認し、材料の耐久性設計のポイントについての理解を目指します。具体例として、接着剤の長期耐久性を題材として説明します。
これらの説明においては、全体を俯瞰できるように概念的な説明を行い、全体像を捉えられるように配慮して説明を行います。さらに、できるだけ多様な切り口からの説明を行い、直感的なイメージとして理解できることを目指します。
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