微小めっきの基礎と低線膨張銅めっきへの応用

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  1. はじめに
    • 微小めっき技術は、液晶用途のバンプめっき、ビルドアッププリント基板、超LSI用Cu配線形成など適用分野が広範で、最近ではタッチパネル用のCuメッシュ技術が脚光を浴びている。本講演では微小めっきの基礎から解説する。微小めっきの定義からはじまり、微小めっきの形状を決定する電流密度分布について説明する。さらにTSVめっきの一般的な添加剤を定義する。つづいて研究成果では、電流密度分布の応用例として、バンプめっき、ビルドアッププリント基板に関して概説する。さらにTSVめっき添加剤のメカニズムやTSVめっきの高速化の実例を詳細に説明する。最後に、微小めっき法を用いたITO代替微細Cu配線技術について説明する。
  2. 微小めっき技術の基礎
    • 電気めっきではフアラデーの法則が成立するため、微小めっきの形状は電流密度分布により決定される。電流密度分布は、電場と拡散と対流の和である。電流密度分布は一次、二次、三次電流密度分布に分類できる。一次電流密度分布は溶液 (めっき液) の抵抗のみ考えた場合である。二次電流密度分布では、溶液の抵抗と電極表面での電荷移動抵抗を考える場合であり、電荷移動抵抗を新たに加える。三次電流密度分布では、溶液の抵抗と電極表面での電荷移動抵抗にイオンの物質移動を考える場合であり、溶液中のイオンの物質移動を新たに加えることになる。
    • TSVめっきには硫酸銅めっきを用いる。その添加剤としては、複数個の有機物と塩素イオンとから構成されている。TSV外部の抑制作用とTSV内部の促進作用との組み合わせにより、埋め込みを達成する。添加剤の構成物質としては、ほとんどの場合3種類またはそれ以上の有機物と塩素イオンとから構成されている。 構成有機物は一般的に促進剤 (アクセレターまたはブライトナー) 、抑制剤 (サプレッサまたはキャリヤ) 、平滑剤 (レベラー) である。
  3. 研究成果
    • めっきバンプは半導体とプリント配線板の接点や液晶の画素と駆動用半導体との接続に多用されている。バンプ形状を支配するイオンの物質移動は、貫通流と上下両コナー部に発生する剥離渦とである。イオンの物質移動が電流密度分布/バンプめっきの形状を支配する。アスペクト比で0.6と中央が選択的に盛り上がったニッケルバンプは、クマリンを添加剤として二層構造のレジストを用いることにより作製出来た。これはクマリンの外部周辺拡散と抑制作用による。最近のビルドアップ – プリント基板は、パネルめっき法とパターンめっき法で作成される。パネルめっき法では配線の微小化に問題があり、パターンめっきが盛んに開発されている。パターンめっきでは、パターンの粗・密によりめっき膜厚が異なる。その均一化は、典型的な電流密度分布の研究分野である。パネルめっきの電流密度分布均一化の例について説明する。パネルめっき基板の支持ジグに部分マスキングをすることにより、膜厚分布が1%以下の均一化を達成した。またパターンめっきでは、BGAパターン周辺にメッシュ状の外部補助電極を設置することにより電流密度分布を均一化した。
      TSVめっきの埋め込みは、抑制作用と促進作用との組み合わせにより達成される。PEG (抑制剤) とJGB (平滑剤) は抑制作用を示す。30nm程度の球形分子として銅めっき表面に吸着し、電流を遮蔽し抑制する。SPS (促進剤) は促進作用を示す。NISTのMoffatらは、ダマシンめっき中に底部に形成される曲率に注目し、曲率にSPSが集中して吸着するCurvature Enhanced Modelを提案している。私どもは回転リング – デイスク電極を用いて、一価銅とその中間錯体の検出を検討している。促進作用の最近の研究例についても言及する。
      TSV Cuめっき時間の高速化には、PRパルス電解、ビア直上オーバーハングの除去、添加剤の最適化が重要である。10μm (直径) X70μm (深さ) のアスペクト比7.0のTSVをボイドフリーで埋め込むのに、初期にはめっき時間が12時間かかっていた。市販の添加剤を最適化ことにより3.5時間に短縮した。さらに新しい抑制剤と平滑剤とを用い、酸素置換することにより1.0時間に短縮した。また酸素置換の埋め込み効果について電気化学測定より考察を加えた。添加剤に平滑剤であるSDDACCを入れることにより、V字型のボトムアップ穴埋が可能となり、30分で達成することができる。PRパルス電解のリバース電流の増大により、TSVの埋め込み性が向上する。またリバース電流の増大にともない、回転リング – デイスク電極のリング電極の電流が増大し、発生する一価銅が増大する。発生する一価銅は促進剤である。
  4. 低線膨張銅めっき
    • 銅はシリコンの9倍の線膨張係数を持つ。そのためプリント基板が半田のリフローで反ったり、TSVが膨れたり、銅めっきが剥がれたりする。以下、TSVとパワーデバイスとプリント基板での線膨張の解消例を述べる。
      • TSV
        通常銅では450℃に加熱すると顕著なポンピングを生ずる。低線膨張銅では全くポンピングが起こらない。また断面観察では通常銅は下コーナー部が割れ銅が染み出す。低線膨張銅では全く起こらない。
      • ガラスインターポーザ
        30μm厚で300μm幅のガラス上の通常銅配線を180℃x1hrで加熱するとコナー部や端部にクラックを発生する。低線膨張銅ではクラックは全く生じない。
      • プリント基板
        シャープレイの式から通常銅と比べて低線膨張銅は反りが半分になる。
  1. 微小めっきの基礎
    1. 微小めっきの定義
    2. 電流密度分布の定義
    3. 穴埋めっき添加剤の定義
  2. 研究成果
    1. バンプめっき
    2. プリント基板用めっき
    3. 穴埋めっき添加剤のメカニズム
    4. TSVめっきの高速化
  3. 低線膨張銅めっき

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