全身性エリテマトーデスは膠原病・リウマチ領域において代表的な疾患である。日本における患者数は6 – 10万人程度といわれておりこの人数はリウマチ領域では関節リウマチに次いで2位である。現在関節リウマチでは生物学的製剤やJAK阻害剤などの分子標的合成抗リウマチ薬が次々に開発されており、脊椎関節炎、血管炎症候群などの疾患へ適応拡大が進められている。他方、全身性エリテマトーデスはベリムマブが米国医薬品局で56年ぶりに承認されたのみである。この差はどこに起因するのであろうか。
本セミナーではSLEの病態・治療と合わせ新薬開発における問題点について順を追って解説、学習する。セミナーでは医学・免疫学用語、薬剤名などが出てくるが、出来るだけわかりやすく解説する。医歯薬看護学部卒業程度の知識があると、より内容を理解できる。SLEの現在の治療および、今後実臨床で必要とされている薬剤について理解したい方、今後SLEの臨床研究を計画されている方は是非ご参加ください。
- はじめに
- 全身性エリテマトーデス (SLE) の疫学と病態
- SLEの疫学
- SLEの病態
- SLEの遺伝的背景
- SLEにおける免疫細胞
- SLEの自己抗体とその意義
- SLEにおけるサイトカイン
- SLE治療の現状
- 基本的なSLE治療戦略
- SLE治療の概略
- ループス腎炎に対しての治療
- ループス腎炎以外に対しての治療
- 特殊な病態に対する治療
- Neuropshychiatric SLEに対しての治療
- SLEの腸管病変・膀胱炎・腹膜炎に対しての治療
- 妊娠・出産とSLEの治療
- 薬剤選択のポイント
- 治療の柱となる薬剤
- 副腎皮質ステロイド
- 副腎皮質ステロイドの適応と用量
- 副腎皮質ステロイドの短期的な副作用
- 副腎皮質ステロイドの長期的な副作用
- steroid toxicityとステロイドフリーについて
- 免疫調節薬
- SLEで使用される免疫調節薬
- 免疫調節薬の適応
- 免疫調節薬の副作用
- 免疫抑制剤
- SLEで使用される免疫調節薬
- 免疫調節薬の適応
- 免疫調節薬の副作用
- その他の内服薬
- 外用薬
- SLEで使用される外用薬
- SLEで必要とされる皮膚のケア
- 求められる新薬像
- 既存薬剤の使いやすさ、使いにくさ
- 既存薬剤の一日投与回数・投与方法、薬剤効果、副作用、飲み合わせなど
- 患者や医師の負担が少ない製剤とは
- 新しい薬が望まれる状況は
- 医師から見た臨床試験のポイント
- SLEにおける臨床試験の問題点
- 今までに行われてきた臨床試験
- 失敗例から学ぶ
- 成功例から学ぶ
- 現在進行中の臨床試験
- EULAR2019より
- 効率の良い臨床試験デザイン
- いかにentryを増やすか
- ドロップアウトを防ぐポイント
- 副作用を克服するには
- うまくいった事例やドロップアウト事例など
- 課題や留意点
- SLEにおけるunmet needs
- precision medicineへの期待
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