第1部 視覚の加齢変化と高齢者対応製品の開発・評価法
(2019年6月10日 10:00〜12:00)
商品が購入されるか、そしてその製品の良し悪しの判断の多くは、最終的に消費者・利用者の目 (視覚) によって決まります。そのため、人間の視覚特性を定量的に理解し、その知見を製品設計に応用することが、売れる商品開発の成功には必須と言えます。さらに、超高齢社会である現在、若年者とは異なる高齢者の視覚特性も考慮した製品開発が、様々な業界で求められています。
人間の視覚特性の加齢変化を定量的に把握し、モデル化・定式化の手法を学び、これらの知見をユニバーサルな商品開発に応用する方法について具体例をいくつか参照しながら分かりやすく解説いたします。
- 視覚とその加齢変化
- 視覚系
- 視覚特性
- 文字の読みやすさ特性
- 高齢者対応製品の開発・評価法
- 必要照度・快適照度と高齢者のための照明設計法
- 高齢者の視認性を保証する文字デザイン設計手法
- 色彩デザイン設計法と高齢者水晶体擬似フィルタ
- 高齢者の視覚シミュレーション (劣化と補償)
第2部 高齢者の認知機能低下と行動予測
(2019年6月10日 12:45〜15:15)
私たち人間は、自身を取り巻く環境の中から情報を獲得し、次の取るべき行動を選択・実行することを繰り返しながら、日々の生活を送っている。ここで、注意・プランニング・作業記憶などの認知機能が重要な役割を果たすが、これらの機能は加齢に伴い低下することが知られている。本講座では、認知機能低下がナビゲーション行動に及ぼす影響を、知覚・認知・行動理論に基づいて、概説する。
- 人間の行動選択・記憶メカニズム
- 知覚・認知・行動サイクル
- 記憶の蓄積・利用の仕組み
- 意識的プロセスと無意識的プロセス
- 行動前後の意識的・無意識的プロセスと記憶の関係
- 認知機能特性のナビゲーション行動への影響予測
- 観察に基づく認知行動理解の方法 (認知的クロノエスノグラフィ)
- 認知的制約のもとでの行動:HOW
- 行動内容を決める活性記憶:WHAT
- エリートモニターの行動観察
第3部 高齢者ニーズ抽出のための生理計測の進め方
(2019年6月10日 15:30〜17:30)
超高齢社会やユニバーサルデザイン思想の浸透に伴い、高齢者や様々な配慮が必要なユーザの心身機能やニーズを捉え、それを設計値に落し込まなければなりません。そのための具体的な手法や考え方を、主として人間工学の視点から解説します。
- 高齢者対応デザイン・ユニバーサルデザインとは
- 本論に先立ついくつかの事例
- ユニバーサルデザインの誤解と正しい捉え方
- 超高齢社会におけるモノづくりの課題
- 良い設計・悪い設計
- 人間中心設計の考え方
- 事例紹介
- 加齢に伴う心身機能の変化
- 心身機能を反映するデザイン要素
- 寸法、体格/運動機能/感覚機能/認知機能/感性
- 高齢者対応デザイン・ユニバーサルデザインのプロセス
- ユーザニーズの捉え方
- 心身機能データ/人間工学規格/ガイドラインの取得方法
- 高齢者の特性、感性への対応
- 心身機能の評価手法
- 評価測定手法の種類
- 測定のための実験計画
- 心身機能データの設計値への翻訳方法
- データの解釈/データの変換/トレードオフ
- ユーザビリティチェックリスト