第1部. SPR法のデータ解析における留意点と異常発生時の対応
(2019年6月6日 10:00〜11:30)
バイオ医薬品、特に抗体医薬の候補分子の選定において標的抗原への結合力 (アフィニティー) 評価は必須項目であるが、治療用抗体の抗原への親和力は極めて強く、その評価の難易度は高くなり、極めて微妙な条件設定や出力されたデータを判定する能力、解析ソフトの駆使が必要とされる。 1.分子間相互作用解析 (SPR) の原理と各種パラメータの意義 2.高親和性抗体の反応速度論的解析 (KD:解離定数測定) のポイント 3.ヒト型化抗体のスクリーニング事例紹介 (解析条件の設定、センサーグラムや結合・解離定数データの判定と専用解析ソフトの利用)
- 分子間相互作用解析による抗体の高速スクリーニング
- Surface Plasmon Resonance (SPR) 法の原理と抗体抗原反応の解析
- 抗原、抗体キャプチャー法に必要な試薬と条件設定 (濃度と時間設定)
- センサーチップの選択と再生条件の設定 (低・高pH、高塩濃度、他)
- 抗体医薬候補分子の高親和性と反応速度論的解析
- 高親和性抗体:マストランスポートリミテーションとリバインドの問題
- 抗原調製法:組換え体抗原の利用、膜受容体の分子デザイン
- Global Fitting解析:残差プロット及びχ2によるカーブフィット評価
- 抗体医薬の規格試験への利用:「日本薬局法17参考情報」記載内容解説
- 反応速度論的解析における留意点と異常発生時の対応 (事例紹介)
- 抗体医薬の抗原結合性評価に対する各メーカーの取組み事例
- ナノキャプチャー法による高親和性抗体のスクリーニング事例
- “センサーグラム”の形状から判定できる情報と異常時の対処法
- BiaEvaluation Program (GE:Biacore) による解析データ判定の事例
第2部. キャピラリー電気泳動法解析におけるチャートの読み方と異常ピーク発生時の対応
(2019年6月6日 12:15〜13:45)
キャピラリー電気泳動には様々なメリットがあり、最近では、日本薬局方においても糖鎖分析において一般試験法に掲載された高分離分解能をもつ分離分析法です。この数十年で少しずつ広まりつつある一方で、クロマトグラフィーに比べると報文数の少なさから参考資料が乏しく、新規導入においては敬遠されやすい一面もあります。ここでは、キャピラリー電気泳動の基礎的な原理から特徴ならびに実例を示し、異常ピークが見られる際の対応についてお話しします。
- バイオ医薬品分析法としてのキャピラリー電気泳動の優位性 (キャピラリー電気泳動の特徴)
- キャピラリー電気泳動の基礎
- キャピラリー電気泳動を用いる抗体医薬品の分析
- キャピラリー電気泳動によるタンパク質の機能解析
- 糖鎖 – タンパク質間結合解析法
- 核酸 – タンパク質間結合解析法
- タンパク質 – タンパク質間結合解析法
- キャピラリー電気泳動による糖鎖分析
- キャピラリー電気泳動における分析法バリデーション
- キャピラリー電気泳動分析の精度を高める
第3部. バイオ医薬における分析法バリデーションでの留意点
(2019年6月6日 14:00〜17:00)
分析法バリデーションは新薬開発において重要な作業項目です。タンパク質性原薬はその特殊性により、分析法バリデーションを実施する上で注意すべき点がいくつかあります。ガイドラインに準拠した分析法バリデーションについて実践的に理解することを本講座の目的とします。
- バイオ医薬の分析法の位置づけと役割
- バイオ原薬開発の流れにおける分析法開発の進め方
- 分析法バリデーションの法的理解
- 分析項目選定の考え方
- 分析法バリデーション実施計画の立案
- バリデーション対象試験項目の設定
- 期待される結果
- ICH Q2に準拠した分析能パラメータの設定
- バリデーション成立条件の設定
- 分析法バリデーションの実施
- 確認試験、定量試験および限度試験実施の留意点
- 検体の前処理法
- 試験に影響を与える物質の評価
- 標準品の取り扱い方
- 結果のまとめ方と評価の仕方
- 結果の妥当性の検証法
- 不適合となった場合の処置法
- 申請書類にどうまとめるか