第1部 高電圧化の耐久性・安全性向上に向けた正極活物質の材料改質技術
(10:00~12:00)
リチウムイオン二次電池は、現在、高充電圧化による、さらなる、高エネルギー密度化が求められている。パーソナル用途では、携帯機器において、コバルト酸リチウム正極の高充電圧化がなされている。EV用途においては、ニッケル系正極を主体に、高充電圧化が進められている。高充電圧化は、充電状態の正極の酸化力を高まり、接する有機物系の酸化を促進し、電池系の劣化が進行しやすい。このような劣化対策として、正極の材料改質がなされる。本稿では、この材料改質技術を、形状改質技術、バルク改質技術、表面改質技術の観点より、対象正極材料ごとに解説する。
- はじめに
- 高充電圧化の課題
- 層状構造正極
- コバルト酸リチウム (LCO)
- 粒形制御
- 元素置換
- 金属酸化物被覆
- リン酸塩被覆
- ニッケルコバルトアルミン酸リチウム (NCA)
- 元素置換
- 活物質被覆
- フッ化物被覆
- 金属酸化物被覆、
- ニッケルコバルトマンガン酸リチウム (NCM、Ni<0.6)
- 単結晶化
- 元素置換
- リチウム塩被覆
- 金属酸化物被覆、
- ニッケルコバルトマンガン酸リチウム (NCM、Ni≥0.6)
- コアシェル・濃度傾斜型
- 元素置換
- リチウム塩被覆
- リン酸塩被覆
- まとめ
第2部 新規含フッ素ホウ酸Li塩錯体:基本物性とリチウムイオン電池用電解質への応用
(13:00〜14:00)
含フッ素カルボン酸類を二座配位子として利用したホウ酸Li塩錯体は、従来のホウ酸Li塩錯体に比較し、同等以上の熱安定性とより高い溶解度を有する。 その中でもヘキサフルオロヒドロキシ酪酸を配位子とした錯体は高い熱安定性、耐加水分解性、イオン伝導度に加え、広い電位窓を有する事が明らかになった。 そして、これをリチウムイオン電池用電解質としての応用を試みた結果、フルセルでの加速試験条件下にて優れたサイクル耐久性、貯蔵耐久性を示した。
- ホウ酸Li塩錯体に関して
- 新規ホウ酸Li塩錯体に関して
- 合成法
- 熱安定性、耐加水分解性
- イオン電導度
- イオン電導度と解離度
- イオン電導度と拡散係数
- 電位窓 (CV)
- リチウムイオン電池用電解質への応用
- まとめ
第3部 安全性を重視した次世代蓄電池用酸化チタン系負極の開発
(14:10〜16:10)
電気自動車や定置用蓄電池に使用されるスピネル型チタン酸リチウム (Li4Ti5O12) は非常に優れた負極材料である。
本講座では、Li4Ti5O12負極が安全性と耐久性に優れる理由を踏まえたうえで次世代の酸化物系負極活物質に求められる資質を述べる。演者らが開発に成功したルチル型TiO2負極を例に取り上げ、活物質の合成法の選択、調製条件の最適化,形態制御による耐久性の改善などについて詳細なデータを添えて解説する。特に、Nbのドーピングによる飛躍的な性能向上機構について述べる。
また、リチウムイオン電池のみならずナトリウムイオン電池としての負極特性についても触れ、両者の比較により見えてくる新たな材料開発の展開を紹介する.
- 蓄電池負極の研究背景と課題
- 酸化物系負極材料の開発の動向
- インサーション反応を示す酸化物系活物質の材料設計
- ルチル型TiO2の長所と課題 (異方的なイオン拡散)
- 課題解決のアプローチ:形態の制御と不純物元素のドープ
- リチウムイオン電池負極への応用
- TiO2粒子の調製: ゾル – ゲル法および水熱合成法
- 結晶性と粒径の最適化による負極特性の改善メカニズム
- Li4Ti5O12やアナターゼ型TiO2との性能の比較
- Nbのドーピングによる飛躍的な性能改善機構について
- TiO2との複合化による高容量Si系負極の長寿命化
- ナトリウムイオン電池負極への応用
- 動作原理と活物質の材料設計指針
- ルチル型TiO2の充放電機構
- TiO2粒子形状の最適化によるNa吸蔵 – 放出特性の改善
- 不純物ドープと結晶欠陥が負極特性に与える効果
- 難燃性電解液の適用およびその密閉式引火試験評価