(10:00~12:00)
リチウムイオン二次電池は、現在、高充電圧化による、さらなる、高エネルギー密度化が求められている。パーソナル用途では、携帯機器において、コバルト酸リチウム正極の高充電圧化がなされている。EV用途においては、ニッケル系正極を主体に、高充電圧化が進められている。高充電圧化は、充電状態の正極の酸化力を高まり、接する有機物系の酸化を促進し、電池系の劣化が進行しやすい。このような劣化対策として、正極の材料改質がなされる。本稿では、この材料改質技術を、形状改質技術、バルク改質技術、表面改質技術の観点より、対象正極材料ごとに解説する。
(13:00〜14:00)
含フッ素カルボン酸類を二座配位子として利用したホウ酸Li塩錯体は、従来のホウ酸Li塩錯体に比較し、同等以上の熱安定性とより高い溶解度を有する。 その中でもヘキサフルオロヒドロキシ酪酸を配位子とした錯体は高い熱安定性、耐加水分解性、イオン伝導度に加え、広い電位窓を有する事が明らかになった。 そして、これをリチウムイオン電池用電解質としての応用を試みた結果、フルセルでの加速試験条件下にて優れたサイクル耐久性、貯蔵耐久性を示した。
(14:10〜16:10)
電気自動車や定置用蓄電池に使用されるスピネル型チタン酸リチウム (Li4Ti5O12) は非常に優れた負極材料である。 本講座では、Li4Ti5O12負極が安全性と耐久性に優れる理由を踏まえたうえで次世代の酸化物系負極活物質に求められる資質を述べる。演者らが開発に成功したルチル型TiO2負極を例に取り上げ、活物質の合成法の選択、調製条件の最適化,形態制御による耐久性の改善などについて詳細なデータを添えて解説する。特に、Nbのドーピングによる飛躍的な性能向上機構について述べる。 また、リチウムイオン電池のみならずナトリウムイオン電池としての負極特性についても触れ、両者の比較により見えてくる新たな材料開発の展開を紹介する.