有機化合物や高分子材料を溶媒に溶かす作業は材料の研究開発段階で頻繁に発生する。どんな溶媒を使ったらよいか、その選択に悩むものである。最も簡単な方法はSP値 (溶解パラメーター ) を使う方法であろう。この方法は極めて簡単な方法であるが、本セミナーではSP値の基礎と利用法について、出来るだけやさしく解説し、実際にその場で計算実習をしてもらう。SP値は有機化合物の溶液論から生まれたものであるので、まずはSP値の熱力学的背景を解説する。SP値を用いる方法は主に米国のHildebrandによって確立された。その後、デンマークのHansenが独自のハンセンパラメーターという量を提案した。さらに高分子の溶解性などを記述するのに、米国のFloryがカイパラメーターという量を導入した。三者の提案にはそれぞれ一長一短がある。これらの特徴について演者の数十年にわたる実用経験を生かして解説したい。
- 熱力学的に溶液を扱うための基礎
- 熱力学の基礎
- 溶液状態の記述法
- 理想溶液
- 正則溶液
- 高分子の溶媒溶液
- SP値 (溶解パラメーター)
- 溶解パラメーターの名称の変遷
- 溶解パラメーターの導出
- 溶解パラメーターの絶対的求め方
- 溶媒の溶解パラメーター
- 混合溶媒の溶解パラメータ -
- ホモポリマーの溶解パラメーター
- 共重合体の溶解パラメーター
- ハンセンパラメーター
- 溶解パラメーターの適用限界
- ポリマーと溶媒の系の特徴
- 長い分子の特徴
- Floryの溶液論
- 結晶性と非結晶性ポリマーの違い
- 非結晶性ポリマーの溶解
- 結晶性ポリマーの溶解
- 架橋ポリマー
- ポリマーの溶解の実例
- ポリスチレンのトルエン等への溶解
- ポリイソブチレンのジイソブチレンへの溶解
- ポリカーボネートの酢酸エチル等への溶解
- ポリエチレン (結晶性) のテトラリンヘの溶解
- ナイロン66 (結晶性) の特殊溶媒への溶解
- ポリマー同士の溶解
- ポリマー同士の溶解現象の定義
- ポリマー同士の溶解理論
- Flory理論からのポリマー同士の溶解
- 相溶性予測の可能性
- 下限臨界共溶温度と上限臨界共溶温度
- 相溶性と非相溶性ポリマーの例
- ポリマーの溶解パラメーターの実験的な求め方
- モル引力定数法
- 溶解度法
- 膨潤度法
- 力学的試験による方法
- 濁度法
- 溶液粘度法