プラスチックは低コストで様々な特性を付与することができるため、設計者にとって非常に魅力的な材料です。そのため、身の回りの多くの製品でプラスチックが使われています。一方、不適切な設計が原因で、プラスチック製品のトラブルは数多く発生しています。特に強度に関わるトラブルは、重大事故につながる可能性もあり、事前にしっかりとした強度設計を行うことが不可欠です。しかし、プラスチック製品の強度設計は思ったほど簡単ではありません。材料力学の知識に加えて、材料特性や成形・加工の影響に関する知識、製品設計上の実務的ノウハウなど、幅広い知識・ノウハウが要求されるからです。それらの知識・ノウハウは広く浸透しておらず、KKD (勘と経験と度胸) による強度設計にとどまっていることが多いのが実情です。
本セミナーでは、数多くのプラスチック製品の設計を手掛けてきた講師が、実務で使えることに重点を置いて基礎から丁寧に解説します。
- プラスチック製品の強度設計に必要な材料力学の基礎知識
- プラスチック製品の強度設計
- ストレス・ストレングスモデル
- プラスチック材料の物性表
- 物性表との関連で学ぶ材料力学の基礎
- 荷重/応力/ひずみ
- フックの法則とヤング率
- 応力 – ひずみ曲線 (S – S曲線)
- はりの強度設計
- はりに発生する応力とたわみ
- 曲げモーメントとせん断力
- はりの強度計算式
- 断面二次モーメント/断面係数
- リブの効果
- 応力集中
- 引張特性と曲げ特性
- 強度設計において考慮すべきプラスチック材料の特性
- プラスチック材料の特徴
- 材料特性の決定プロセス
- 結晶性プラスチックと非晶性プラスチック
- 温度特性
- 粘弾性特性
- 力学モデル
- クリープ
- 応力緩和
- 疲労
- 劣化
- 様々な劣化要因 (熱/水分/紫外線/その他)
- アレニウスの式を使った寿命の推定
- 劣化スピードの経験則「10℃2倍則」
- RTI (相対温度指数)
- 成形・加工・再生材の影響
- ウェルドライン/ボイド/残留応力 他
- 再生材
- 実務における強度設計の進め方と事例
- 要求事項の整理と安全率
- 製品ライフサイクルから抽出する要求事項
- 製品の使われ方の想定
- ストレス・ストレングスモデルで考える安全率
- トラブルを未然に防ぐ図面、仕様書の書き方
- 事例で学ぶプラスチック製品の強度設計