UV硬化型のインキやジェットインク材料は、光ラジカル重合やカチオン重合反応を利用しており、印刷、コーティング、3Dプリンター、接着剤や歯科材料など様々な分野で利用されている。この光重合反応を用いることで、環境負荷の少ないシステムを構築することができる。
本講座では、まずUVインキの組成や重合反応の特徴、速度論等に関する基本的事項について、平易に解説する。材料に要求される物性を満足させるためには、モノマーや開始剤などの選択が重要である。開始剤やモノマー材料に関する基礎的な知識、さらにラジカル重合反応においては避けて通れない酸素による重合阻害に関して、わかりやすく紹介する。
また、UVインキを使用するにあたって問題となることの多い密着性について、インクジェットインクの組成と基材密着性との関係から、硬化時の収縮挙動など密着性に影響を与える要因についても具体的に紹介する。
- UVインキとは
- 基本組成
- ラジカル重合型インキ
- 一般油性インキ
- UVインキの利点と課題
- モノマーの影響
- 顔料の影響
- UV硬化反応の基礎
- UV硬化反応と光源について
- 色材による内部フィルター効果
- 光源と開始剤との関係について
- 光ラジカル重合反応
- 素反応
- 素反応から反応速度式の誘導
- 実際の重合反応系は速度式に従うのか
- 重合反応速度の測定方法
- 酸素による重合阻害反応
- なぜラジカル重合反応は酸素による阻害を受けるのか
- 重合阻害反応を回避する方法はあるのか
- 酸素の有効利用について
- 光重合開始剤とモノマーについて
- ラジカル重合用開始剤とモノマー
- 電子移動反応による増感反応
- 生成ラジカルの構造と反応性について
- ラジカルの大きさと反応系のガラス転移温度の関係
- カチオン重合用開始剤とモノマー
- 開始剤の違いがもたらす硬化膜構造 (力学物性)
- 硬化膜の物性の評価方法
- 基材密着性を決定する要因について
- 界面化学的要因
- 硬化収縮
- 光硬化に伴う収縮挙動のその場測定方法について
- その場測定の方法
- 実例
- 重合反応と収縮挙動との相関
- 低収縮性モノマー
- アンカリング効果
- UVインクにおける密着性制御の例
- ラジカル重合型ジェットインク
- 組成と基材密着性との関係
- 界面化学的側面からの検討
- アンカリング効果からの検討
- カチオン重合型ジェットインク
- 組成と基材密着性との関係
- 硬化収縮挙動からの検討