第1部 屈折率測定の原理と実際
(2019年5月20日 10:30~12:30)
材料の屈折率測定は古くから数多く行われてきたが、必要な精度で必要なデータを効率良く得るのは案外と難しい。利用できる試料のサイズと形状、要求される屈折率の精度、屈折率を知る必要のある波長域や光学的異方性の有無など、様々な要素を考慮して適切な測定法を選択する必要があり、屈折率測定の原理と、固体試料に適用可能な代表的な屈折率測定法について講義する。
- はじめに
- 屈折率とはなにか
- 実用材料の屈折率
- 光学的異方性
- 屈折率の波長分散
- 屈折率測定の原理
- 屈折率測定の実際
- 臨界角法
- 最小偏角法
- 液浸法
- 干渉法
- クラマース・クリーニヒ解析
- 楕円偏光解析法 (エリプソメトリ)
- プリズムカップリング法
第2部 無機有機ハイブリッド、 ゾルゲル法などによる光学樹脂の屈折率制御
(2019年5月21日 13:15〜14:45)
無機材料と有機材料のナノサイズでの複合で得られる有機無機ハイブリッドは、低屈折率から高屈折率までの制御が可能であり、それらの手法について紹介する。シリカ、ジルコニアやチタニアナノ粒子による屈折率制御で得られる薄膜は、反射防止膜などの光学フィルムに適用できる。ゾルゲル法やビーズミルを用いた方法でのナノ粒子分散体の調製について述べるとともに、光硬化系での高屈折率薄膜の作製と特性について紹介する。また、シルセスキオキサンを用いたハイブリッド薄膜についても講義する。
- 有機無機ハイブリッドの概説
- 光学材料として求められる有機無機ハイブリッドの特性
- ナノ空隙を活かした低屈折率ハイブリッド薄膜
- ポリシラン/シリカナノ粒子による低屈折率ハイブリッド薄膜
- 反射防止膜への応用
- イオウを含んだ高屈折率有機無機ハイブリッド
- 含イオウシルセスキオキサンを用いたエンチオール反応 による有機無機ハイブリッド薄膜
- エンチオール/ゾルゲル同時架橋反応による有機無機ハイブリッド薄膜
- 含イオウ有機無機ハイブリッドの特性と応用例
- ジルコニアナノ粒子分散体を用いた高屈折率ハイブリッド薄膜
- 2段階法によるジルコニアナノ粒子分散体の調製
- 新規シランカップリング剤によるジルコニアナノ粒子分散体の調製
- ジルコニアナノ粒子を含んだ光架橋性アクリルハイブリッド薄膜の屈折率制御
- チタニアナノ粒子分散体の調製と高屈折率ハイブリッド薄膜への応用
第3部 有機チタン化合物を使用した高屈折率材料の設計と応用
(2019年5月21日 15:00〜16:30)
チタンアルコキシド、チタンキレート等の有機チタン化合物の反応性について紹介する。これら有機チタン化合物は水と反応させることで部分縮合し、有機チタンのオリゴマー体を形成する。このオリゴマー体の塗布液は、塗布、熱処理によって高屈折率を有する酸化チタン膜を形成することが可能である。今回は、この有機チタンオリゴマーを利用した高屈折率膜形成材料への応用を中心に公演を行う。
- 有機チタン化合物の概要
- 有機チタン化合物とは
- 有機チタン化合物の反応性
- 有機チタン化合物の応用分野
- 有機チタン化合物を使用した酸化チタン膜
- アルコキシドとキレート
- モノマーとオリゴマー
- チタンオリゴマーを用いた高温焼成型高屈折率膜形成材料
- チタンオリゴマーを用いた低温焼成型高屈折率膜形成材料
- まとめ
第4部 耐熱性ポリイミドの透明化、光学特性の機能化設計と開発動向
(2019年5月21日 10:00~12:00)
耐熱性透明高分子材料、特にポリイミドががフレキシブルディスプレイの基板材として注目されている。本講では耐熱性ポリイミドの着色し易い構造の透明化設計から、光学特性の機能化設計について考え方を説明する。さらに企業の開発事例を紹介する。
- 透明性高分子 (光学樹脂) の基礎
- 光学特性と化学構造
- 耐熱性高分子の基礎とポリイミドの位置づけ
- ガラス転移温度、熱分解温度と化学構造
- ポリイミドの着色要因と透明性発現の考え方
- ポリイミド固有の着色要因の電荷移動錯体
- 電荷移動錯体から考える透明化設計
- 透明性発現に有利なモノマー構造
- 透明性を発現したポリイミドの開発事例
- 芳香族
- semi – 芳香族 (芳香族/脂環族)
- 脂環族
- 最近の耐熱透明ポリイミドの機能化動向
- 低CTE (熱線膨張係数) 化
- 屈折率制御
- 耐熱透明ポリイミドの製品開発動向
第5部 微細凹凸構造を表面に有する光学フィルムの屈折率制御
(2019年5月21日 12:45〜14:15)
ナノインプリントとは、ナノサイズの構造を持った金型から樹脂に構造を転写する技術であり近年注目を集めている。構造がナノサイズになると可視光の波長より小さくなることにより、例えばモスアイ構造のような反射防止効果を発揮する事が可能となる。本セミナーでは、モスアイ構造などによる屈折率制御と反射防止機能について紹介し、ナノインプリントの量産化の要素となる金型や加工方法等についても解説する。
- ナノインプリント技術
- ナノインプリントとは?
- 量産化における要素
- 干渉リソグラフィによる大面積化技術
- Roll – to – Roll装置
- 量産時の課題
- モスアイ構造
- 反射防止フィルムとメカニズム
- 現行の反射防止フィルム
- モスアイフィルム
- モスアイ構造の屈折率制御と設計
- モスアイ構造による屈折率制御
- 拡散性モスアイ構造による光拡散制御
- モスアイ構造による屈折率制御事例
- ディスプレイへの応用
- 有機EL・LEDへの応用
- 太陽電池への応用
- レンズ構造への屈折率制御
- レンチキュラーレンズ構造金型
- 屈折率制御と構造設計
第6部 屈折計の各測定方式の特長と、実例を交えた測定ノウハウ
(2019年5月21日 14:30〜16:00)
屈折率の情報は食品、化学、工業分野と幅広い分野で利用されて測定対象となる試料も液体、ガラス、樹脂、フィルムなど多様な形態があります。このセミナーでは、屈折計の各種測定方式の概要、特長から測定時の注意事項など、ノウハウについても実例を交えて解説します。
- 屈折計の種類
- 屈折率測定に関連した規格
- 測定試料
- 測定条件
- 測定例