第1部. 各種モデルを使用した新薬のフォーキャスティング
(2019年4月23日 10:00〜12:00)
近年医薬品の売上予測において、レセプトデータベースやwebによるプライマリー市場調査の結果を日常的に使用することが可能となり、疫学文献に頼らないリアルワールドデータに基づいたフォーキャスティングが一般的になってきている。本講演では現在製薬企業の担当者が入手できるデータソースを概観し、それらを活用した各種の売上予測モデルについて説明する。
- フォーキャスティングの目的とアプローチ
- 予測に使用するデータとデータソース
- シェア予測の方法
- PatDayについて
- 売上予測における薬剤クラスの考え方
- 参入順位シェアモデル
- 数量モデルによるフォーキャスティング
- 医薬品の製品ライフサイクル
- S字カーブモデル
- 回帰分析を用いた予測
- 患者数モデルによるフォーキャスティング
- スナップショット患者数と期間患者数
- 患者数の将来予測
- リアルワールドデータを用いた1日価格の想定
第2部. 売上データが入手できない場合での臨床開発早期の売上予測
(2019年4月23日 12:45〜14:45)
化合物のプロファイルが明確になっていない基礎研究 (探索段階) や創薬研究、開発早期段階 (非臨床開発段階) では、売上予測を産出するのに必要な要素の多くは明確になっていない。臨床開発が開始され、臨床開発後期に進んでいくにつれて不確定要素やあいまい性も少なくなっていく。 売上データがなく、様々な要素が不確定である、臨床開発早期候補品のピーク時期待売上の算出方法について、本セッションではご紹介する。 ピーク時期待売上は、効能取得を想定するセグメントごとに「当該疾患推定患者数」×「予測獲得シェア」×「想定薬価」で売上を算出する。「当該疾患推定患者数」は種々の患者数予測を示した統計書から適切なデータを引用する。想定薬価は類薬や対照薬を参考にして社内の薬事部門関係者が算出する。 ピーク時予測獲得シェアの算出には、多くの要素が影響するため、一般的に困難を極める。本セッションでは、一例として、「化合物の差別化要因」「競合優位性」「当該疾患の競争の激しさ」をスコアで示し、そのスコアにウェイト付けして値を出し、その値に基づいてピーク時予測獲得シェアを割り出す手法を紹介するので、参照していただきたい。
- 開発段階の医薬品の事業性評価や売上予測をたてる際の留意点
- 今までに無いまったく新しいメカニズムのベストインクラスの薬剤の市場予測は極めて難しい。どのようにしたらよいかについての考察を行う。
- 臨床開発部門とMKT部門のゴールは違うことを留意しなければならない。 議論を尽くして双方のゴールの合理的合致点を見出すことが必要である。
- 将来の上市時点 (10年先?) の当該薬が参入する市場をどのように予測するのか? (治療方法や薬剤の顔ぶれは大きく変化していることもある)
- 臨床開発期の化合物の売上予測の計算手法の紹介
- 製品コンセプトが未だ不確定な臨床開発早期と、ほぼ製品プロファルが確定している臨床開発後期における売上予測の計算手法を考慮して、計算手法をどのように標準化するかが重要。
- 社内全体のコンセンサスが得やすい計算手法はどのようなものかについて、その考え方も含めて具体的に紹介する。
第3部. 説得力のあるプライマリーデータの収集とその示し方
(2019年4月23日 15:00〜17:00)
説得力のあるプライマリーデータの収集に万能の方法は無い。早期開発段階など市場環境によっては、大規模な定量調査によるデータが最も説得力のあるデータとは限らず、良く設計され目的に合致した定性調査から最も説得力のある情報が得られるケースもある。説得力のあるプライマリーデータを得るには、予測する市場の環境によって最適なプライマリー調査を企画設計し、品質の高い運営をすることが肝要である。
- プライマリーデータの説得力とは
- 予測を前提としたプライマリーリサーチの目的・課題設定
- 市場の状況、事業・製品の状況に適したリサーチ設計
- 各種リサーチ手法の長短
- 市場・カスタマーの定義
- 医薬品の様々なライフステージ、市場の成熟度など
- 製品の競合状況、ポジショニング
- ペイシャント・ジャーニー/治療フローの理解
- 早期開発段階のプライマリーリサーチ
- 新薬上市に向けたプライマリーリサーチ
- 上市後プロダクトライフサイクルマネジメントのためのプライマリーリサーチ
- プロダクトXの市場性に説得力を持たせるために。
- 質疑応答