撮像技術が大きな転換期にさしかかっている。元祖CCDを追い落としたCMOSセンサの撮像性能は早や成熟期に到達した。そこに車載カメラなど新しいニーズが沸き起こり、イメージセンサはその開発軸をViewing向けの性能進化からSensing (視覚) 向けの機能進化へと転換し始めた。それに新しいイメージセンサの挑戦が加わる。一方、撮像システムではImagingがComputingと融合し、Thinking (Cognition;認知) へ機能進化を始めている。 本セミナーではまず、CMOSセンサの進化の過程、理論限界に迫る性能成熟の現状、そして残された課題を解説する。次いで、突き進む機能進化の現状を鳥瞰し、3つに整理する。①画素内機能集積による多次元の撮像機能。②センサチップに論値LSIをモノリシック3D集積 (M3D) する画像処理機能。③光学系をハイブリッド集積するカメラモジュールの多機能化である。更に、CMOSセンサの追い落としを狙う新しいイメージセンサ、赤外線センサ、新概念のセンサ等の開発動向を紹介する。 次に撮像システムの進化、ImagingとComputingの融合について解説する。1つは新しい撮像機能を創出するComputational Imaging。レンズ無しカメラという夢への挑戦もある。キーワードは3D Vision。もう1つはComputer Vision。それが高度化著しいプロセッサチップとカメラモジュールとともに機器に組み込まれてEmbedded Visionとなる。更にAI Visionを取り込んで、機器に視覚+認知機能を与え、スマホカメラや自動車などの自律化を促す。そうした新時代の撮像システムの幕開けを紹介する。曰く、“カメラのカンブリア爆発”である。