本セミナーでは、粒子分散系に限定して、凝集分散とレオロジーの関係について初歩的な導入から実用的な取り扱いまで詳解いたします。
濃厚な粒子分散系を対象としたプロセスは、内部の粒子の状態を観察することが困難であり、適応できる計測方法にも制限があることから、そのメカニズム理解が困難とされてきた。一方で、習熟した研究者や技術者には感覚的に最適な条件を導き出すことができていることも少なくない。これは例えば、分散液を揺らしたときの時の液面の状態や手に感じる僅かな力を敏感に感じ取ることで実現できていると考えられる。このような人間の感覚に近い物性を評価する手法としてレオロジー計測があげられる。しかしながら、レオロジー物性と内部構造に関する知識なくしては、適切な評価方法およびデータ理解を行えない。 本講では、粒子分散系に限定して、液相中において粒子が形成する内部構造やその力学的応答性とレオロジー特性の関係について初歩的な導入から実用的な取り扱いまで説明する。特に、粘度とそのせん断速度依存性から粒子の凝集・分散状態を定量的に評価する手法について述べる。また、粘弾性を指標とすることで、静止状態においてどのように粒子分散液中で内部構造が発達しており、それが変形を与えることでどのような応答を示すのかが明らかになり、粒子分散液の内部構造について多面的な理解に繋がる。これら、粘度や粘弾性を指標として、粒子分散操作のみならず、塗布膜乾燥プロセスや噴霧乾燥による造粒プロセスと粒子分散性との関係を調査した事例についても述べる。