近年、第四次産業革命が推進される中、AI技術を利用した医薬品研究への期待が高まっています。とくに、ゲノム・オミックス、ドラッグ・リポジショニング、ビッグデータ創薬などは、今後の医薬品研究のテーマとして注目されています。このようなAI技術を利用した医薬品研究には、特許の取得と活用が必要不可欠です。とくに、AI技術の特徴に配慮して的確に特許を取得する特許戦略は、今後の研究活動や事業活動にとって有効です。
このような状況の下、特許庁は、2018年4月、AI関連発明に関する審査基準を改訂し、AI関連発明について、特許を受けるための要件などの特許審査の考え方を公表しています。また、特許庁は、2019年1月、AI関連発明の審査事例を公開しており、その中にはAI創薬に関連する事例も含まれています。
本講演では、このような視点から、AI技術を利用した医薬品開発における特許戦略の新たな動向について説明し、今後の課題と対応策について解説します。
AI技術を利用した医薬品開発の特許動向を把握し、特許を視野に入れた研究開発戦略を理解することがねらいです。また、AI創薬において、どのような特許を取得すべきかを理解し、最近の特許事例について把握することがねらいです。
- AI技術を利用した医薬品開発の特許の動向
- 特許出願の最近の傾向 (新たな創薬技術を中心に)
- AI技術を利用した医薬品特許の動向
- ゲノム・オミックス
- ドラッグ・リポジショニング
- リード化合物の最適化など
- IoT技術を利用した医薬品特許の動向
- ビッグデータ創薬
- クリニカル・イノベーション・ネットワーク (CII)
- 地域医療連携ネットワーク (EHR)
- Personal Health Record (PHR) などの利用
- 特許マップによる分析
- 特許を視野に入れた研究開発戦略 (AI創薬を中心に)
- 特許出願のタイミング
- 新規な有効成分
- 医薬用途の最適化
- DDS製剤などの特許出願戦略
- 研究開発に必要な特許調査
- AI技術やIoT技術と医薬品の融合領域の留意点
- 特許調査の手法とコツ
- 研究開発戦略と特許戦略の一体化
- 研究部門と知財部門の協力体制
- 研究者と知財担当者の連携の在り方など
- 今後の研究開発戦略と特許戦略の方向性
- どのような特許を取得すべきか (2018年4月、AI関連発明に関する改訂審査基準)
- 特許を受けるための要件 (AI関連発明の改訂審査基準/2018年4月)
- どの程度の進歩性が要求されるのか (AI関連発明の改訂審査基準/2018年4月)
- どの程度の開示が要求されるのか (AI関連発明の改訂審査基準/2018年4月)
- 広くて強い特許とはどのような特許か
- 有効成分、医薬用途、DDS製剤などのクレームの傾向と課題
- 特許審査への対応について
- 拒絶理由への対応方法
- 面接審査の活用方法
- 拒絶査定を回避するコツなど
- どのようなAI関連発明に特許が付与されるのか (2019年1月、AI関連発明の審査事例)
- 糖度推定システム (記載要件/2019年1月、AI関連発明の審査事例)
- 体重推定システム (記載要件/2019年1月、AI関連発明の審査事例)
- 被験物質のアレルギー発症率の予測方法 (記載要件/2019年1月、AI関連発明の審査事例)
- 癌レベル算出装置 (進歩性/2019年1月、AI関連発明の審査事例)
- 認知症レベル推定装置 (進歩性/2019年1月、AI関連発明の審査事例)
- 事例研究 (最近、登録されたAI創薬の特許事例の分析)
- ゲノム・オミックス/個別化医療、クリニカル・シーケンシング
- ドラッグ・リポジショニング、ハイスループットスクリーニング
- リード化合物の最適化/遺伝子発現プロファイル
- ビッグデータ創薬、マテリアル・インフォマティクス
- タンパク質相互作用、候補化合物の探索、副作用情報の予測
- 薬物抗体複合体 (ADC) の予想モデル、DDSパターンの予測
- 事例を踏まえた最適な明細書・クレームの提案