近年、自動車用CFRPの開発が進められる中で、熱可塑性樹脂を母材とした 炭素繊維強化熱可塑性樹脂 (CFRTP) への期待が高まっている。CFRPにおいて 炭素繊維と母材樹脂の界面接着力が、その力学物性を大きく左右する重要な因子となる。 特にCFRTPでは作製工程で化学反応を伴わないため、界面接着力の制御は非常に難しい。
本講座では、関連研究の最近の動向、炭素繊維やCFRPの基本から紹介するとともに、 CFRP中における界面接着力の重要性について解説する.また、特に近年注目が高まるCFRTPに おける界面制御手法について自身の研究を踏まえて紹介する。
- 炭素繊維・CFRPの基本
- 炭素繊維とCFRPの歴史
- 炭素繊維の強さの由来
- CFRPの考え方と界面の重要性
- 炭素繊維・CFRPの研究開発動向
- 国内外で実施される関連研究開発動向
- 低価格炭素繊維への挑戦
- CFRPの高速成形を可能とする熱可塑性樹脂の適用
- CFRPのリサイクル技術
- 炭素繊維への表面・サイジング処理の現状
- CFRTSとCFRTP
- マトリクス (母材) に用いる樹脂の選択
- CFRTPのメリットとデメリット
- 高含浸を実現するCFRTPの成型技術
- CFRTP中における界面接着力の改善手法
- 繊維表面に付与した含酸素官能基の効果
- 界面の接着性評価
- フラグメンテーション法
- マイクロドロップ法
- 引抜試験
- 熱可塑性樹脂を母材とする難しさ
- 新しい炭素繊維 – 樹脂界面接着力の改善手法
- 炭素繊維・CFRPのリサイクル
- リサイクル技術開発の現状
- 種々リサイクル技術の特徴とリサイクル炭素繊維の評価
- リサイクル炭素繊維の界面特性
- サステナブルなCFRPの実現に向け
- 完全循環 (リサイクル) 可能な樹脂の選択
- 次世代CFRTPとしての高力学物性と耐熱性の両立方法
- まとめ ~未来への展望~