第1部 プラスチック成形品のそり発生メカニズム
(2019年3月28日 10:00〜12:00)
射出成形品を例に、樹脂の流動や冷却が成形品の収縮異方性、そり変形に与える影響について知識を深める。また、それらの知識からそりを抑制するための考え方について修得できる。
射出成形品の収縮異方性、そり変形に与える要因について解説する。また、成形プロセスによって生じる分子配向、繊維配向と機械的特性の関係性について解説し、そり変形を予測・推定する上で必要な型内現象について紹介する。
- 射出成形品のそり変形要因
- 収縮異方性と分子配向・繊維配向
- 分子配向に与える樹脂流動の影響
- そり変形に与える繊維配向の影響
- 繊維配向の定量化手法
第2部 フィルムのアニーリング処理とモルフォロジー観察
(2019年3月28日 12:50〜14:50)
本講演では、生分解性高分子として知られ、また、結晶性高分子でもあるポリ-L-乳酸 (PLLA) をモデル高分子として、PLLAをアニーリング処理することで、そのフィルムの内部構造がどのように変化していくのかを、X線広角回折測定やX線小角散乱測定などを用いることによって考察して行きたいと考えています。
身近なプラスチック製品の多くは成型加工 (押し出し成型、ブロー成型など) の際に何らかのアニーリング処理が施されています。これまで、材料に最適な成型条件、アニーリング処理については、技術者の豊富な知識と培われた多くの経験によって行われていますが、本紹介では、高分子をアニーリング処理した際に、フィルムの内部構造は、どのように変化して行くのかに焦点を当て概説したいと思います。
- 本講座で紹介する内容の概説
- 実験 本紹介で用いるポリ-L-乳酸 (PLLA) 試料の作製方法について
- PLLAの合成方法について
- PLLAフィルムの作製方法について
- 使用装置の紹介と測定条件について
- 結果及び考察 測定データの紹介とデータ解説
- アニーリング処理 温度プログラムの検討について
- フィルムの熱物性測定 結晶化度評価
- フィルムのモルフォロジー解析 X線広角回折・小角散乱による構造評価
- まとめ
第3部 樹脂・フィルムへのアニール処理のための装置とその運用、応用
(2019年3月28日 15:00〜17:00)
- プラスチックフィルムのアニール処理を行う目的
- 加熱収縮率低減による熱寸法安定性向上
- ラミネーションカールの抑制、
- たるみ、しわ補正、平滑性の向上
- フィルム製膜プロセスと配向による熱歪の残留
- 特許からみた結晶性フィルムの弛緩熱処理方法
- インラインアニール処理
- オフラインアニール処理
- ラボオフラインアニール処理の装置と運用について
- 装置の種類と構成 (熱風循環炉、IR炉と過熱水蒸気)
- 低熱収縮化処理の検討手順とその事例
- 熱処理、アニール処理の3要素 (張力、温度、滞留時間) の調整
- コーティング前処理と熱歪除去のインライン加工装置
- アニール処理の事例
- アニール処理によるPros/Cons
- アニール処理後の熱寸法安定性、PETフィルムとPENフィルム
- アニール処理後の平面性評価
- アニール処理フィルムによるラミネーションカール抑制効果
- ITO後結晶化処理
- 溶剤キャスティング法で製膜されたフィルムの残留溶剤除去