微粒子分散系は、もともと取り扱いが面倒ですが、とりわけ濃厚系は固化しやすく、固化しないまでも流動性を失いパサパサ、ボテボテになり勝ちです。この傾向は、粒子が小さくなるほど著しく、特にナノ粒子の濃厚系では、粒子同士が数nm~数十nmまで接近するため、粒子間引力は強くなる一方で、逆に反発力は低下するようになります。また一つの粒子周りに別の粒子が多数くるような濃厚系では、多体効果により静電反発力による安定化は難しく、その傾向は非水系でより顕著です。
本セミナーでは、上記のような濃厚系特有の諸問題に対処するために、先ずぬれ・分散化で必要な基礎物性の求め方および高密度化・低粘度化のための粒度調整法について説明します。次いで粒子間相互作用の考え方をもとに、濃厚系に適した分散剤の選択法や表面改質法、および評価技術について、初歩から分かり易く解説します。
- 微粒子分散系の調製工程と濃厚系における問題点
- 微粒子分散系の調製工程
- 粒子間距離と凝集速度
- 三次元ネットワーク形成とゲル構造
- 隣接粒子群による多体効果
- 溶解度パラメータ/表面エネルギーの求め方
- 溶解度パラメータ (SP値・HSP値) の求め方
- HildebrandのSP値とHansenのSP値 (HSP値)
- 化合物の原子団寄与法および溶解法による求め方
- 微粒子・ナノ粒子のSP値・HSP値の測定
- 表面張力/表面エネルギーの測定法
- 表面張力/表面エネルギーの成分分け
- 接触角法による表面エネルギーの測定
- インバースガスクロマトグラフィー法による測定
- 濃厚系の高密度化・低粘度化のための粒度調整
- 濃厚系の空間率と粘度との関係
- 大小粒子2成分系における最適混合比
- 多成分系における最適混合比
- ぬれ・分散化のための溶媒/樹脂の選択
- SP値・HSP値によるぬれ・分散化の評価
- 相互作用距離とHansen球
- Hansen球法による溶媒/樹脂の選択
- 表面エネルギーによるぬれ・分散化の評価
- Youngの式と界面張力・付着仕事
- ぬれの形態とwetting envelopeによる溶媒/樹脂の選択
- 粒子間相互作用と安定化機構
- 粒子間に働く引力エネルギー
- van der Waals引力エネルギーとHamaker定数
- 大・小粒子 (含:分散剤) の混在系における枯渇引力
- 静電反発作用による安定化
- 電気二重層とゼータ電位
- 濃厚系における多体効果と静電反発力低下
- ヘテロ系における静電反発エネルギー
- 立体反発作用による安定化
- 浸透圧・体積制限効果と立体反発エネルギー
- 高分子ブラシモデルによる立体反発作用
- 静電反発作用と立体反発作用による相乗効果
- 濃厚系安定化のための分散剤選択と表面改質法
- 高分子分散剤選択のポイント
- 分散剤の共重合体構造と吸着形態
- 酸塩基性と吸着特性
- 相溶鎖の伸張性と溶媒の選択
- 最適添加量と枯渇作用
- 表面改質による安定化と評価技術
- 界面活性剤の構造とHLB値
- 界面活性剤による吸着形態と自己組織化
- カップリング法およびグラフト法による改質例
- 濃厚系の分散安定性評価法
- フロック径法
- 顕微鏡画像処理
- 粒度ゲージ
- 超音波減衰分光法
- 凝集沈殿法
- 多重散乱による沈降速度測定
- 沈殿体積
- レオロジー法
- 流動特性 (チキソトロピーや降伏値)
- 動的粘弾性 (貯蔵弾性率や損失弾性率)