最近では高分子材料が単独で用いられることは少なくなっていて、異なった高分子の積層化、繊維や金属との複合化などが頻繁に行われている。また、塗料のコーティングによる表面改質も重要である。これを十分に達成するためには、接着剤の選択も重要ではあるが、それだけでは満足な結果が得られない場合が圧倒的に多い。このような状況の場合、高分子を表面処理して接着性を改善することが極めて重要になってくる。
本セミナーではこの問題を扱ったものである。表面処理の方法には多くの方法が知られているが、コロナ処理、低圧プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、火炎処理、紫外線処理等の物理的処理法が多く行われている。また、これでは困難な場合、シランカップリング剤処理、グラフト化処理、等の何らかの化学試薬を用いる方法も行われている。
演者はこれらほとんどの方法について企業との共同研究の形で経験してきた。その体験を基にして各種表面処理法のメリット・デメリットについて解説したい。
- 表面と接着
- 接着の機構
- 接着の条件とは
- 接着力への影響因子
- ぬれと接着とは
- 官能基と接着力とは
- 表面粗さと接着力とは
- 溶解パラメータと接着の関係
- 表面処理法の基本的な考え方
- 表面処理の考え方と必要性
- コロナ処理とは
- 低圧プラズマ処理とは
- 大気圧プラズマ処理とは
- 火炎処理とは
- イトロ処理とは
- シランカップリング剤処理とは
- グラフト化とは
- 新手法によるポリオレフィンの接着
- 表面処理に伴う分子構造変化
- 表面処理状態の確認
- ESCA (XPS) の原理
- ESCAによる表面分析とは
- 化学修飾法によるESCA分析
- ATR法による表面の赤外分析
- 和周波分光法 (SFG) による表面分析
- TOF – SIMSによる表面分析
- 原子間力顕微鏡 (AFM) および走査型電子顕微鏡 (SEM) による表面分析
- 実例から表面処理、接着力改善を学ぶ
- ポリエチレンからのラミネートフィルム
- ポリプロピレンへの塗料の接着性改善
- 芳香族ポリイミドと銅箔の接着
- ポリアミド、他
- 接着のための特殊技術
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