本セミナーでは、自動車騒音・振動対策と防音・制振材料について詳解いたします。
自動車業界を取り巻く環境は、欧州などでの内燃機関への厳しい規制、これらに伴う電気自動車の将来の広がり、自動運転の導入、CO2削減規制強化に伴う燃費の格段の向上などにより、今後、世界規模で大きく変化していきそうです。時代の節目での自動車の今後の開発において、これらの環境の変化に素早く、将来を見越した対応をする必要がありそうです。これらの環境の変化に対して、自動車の各部品には、より厳しい軽量化、徹底した省エネルギーへの貢献などが、現在の各種性能を維持しながら求められることになります。 長年、品質・質感の向上に騒音・振動対策は貢献してきています。静粛性の向上をするだけではなく、それぞれの時代の要請 (出力、運動性能、排ガス、リサイクル、衝突安全、環境ホルモンなどによる材料の使用規制、CO2排出削減等) との両立をはかりながら進化してきています。静粛性能に、車体構造、制振材・防音材や、これらの機能を含む内装も一翼を担ってきており、時代の要請に応えながら質感向上に寄与してきました。今後も環境の変化に対応する必要があります。 従来から、自動車を構成する部品の仕様 (材質、板厚、形状、コスト) が振動騒音性能で決定されてしまうことは少なくありません。現代の殆どの部品が振動騒音性能に関連し、その要求を無視したまま自動車の部品開発はできなくなってきています。 本講座では、上記の背景を踏まえ、自動車の振動・騒音現象と制振・防音対策、CAEによる設計について現状認識をあらたにし、今後の環境の変化への対応について考えたいと思います。また、新しい概念である波動ブラックホールや屈折を利用した積層防音構造も紹介します。