(2019年2月26日 10:00~11:30)
演者らは、二硫化炭素 (CS2) を出発原料として炭素と硫黄が1:1の化学量論的組成をもつポリ硫化炭素の合成法を確立した。この化合物は、硫黄単体の特性を保持しつつ、硫黄含有率が72.7%と高く、π共役構造を有することから、レドックス活性と電子伝導性を併せもつ新規レドックス導電性ポリマーとしてリチウムイオン電池正極材として有望である。実際、一般的なコバルト酸リチウム (LiCoO2) 正極活物質より約1桁高い電気容量を示す。
(2019年2月26日 12:10〜13:40)
大きく2項目の発表を行う予定です。項目1は、有機硫黄ポリマーに関連する電極材料を大分類ー中分類で紹介することにより、電極材料それぞれの区別とポジショニングを行うことで、 当該技術の時系列遷移・特徴・優位点ならびに課題を理解していただく。 その後項目2として、有機硫黄ポリマー電極材料の概要と事例説明を行い、具体的な正極応用紹介を行う。最後に、ポリチオンポリマーの概要と研究開発事例の紹介を行う。 項目1,2の時間配分は5:5 ~4:6の予定です。
(2019年2月26日 13:50〜15:20)
溶液中のイオンの構造と反応性は、古くから学術的な興味だけでなく、電池、特に電解液の開発とも密接に関係しながら発展してきました。溶液中のイオンを分子論に立脚して体系化する試みは、水溶液に関しては、ほぼ完成したといえます。 しかし、非水溶液やイオン液体といった複雑な系では、未だ不明な点も多く残されています。 一方で、次世代高性能電池の電解液開発の観点からは、溶媒和イオン液体のように、従来にはない新たな概念を必要とする液体が提案されています。 本講座では、溶液中のイオンの構造と反応性、イオン伝導について、古典論から出発し、講師らの最近の成果にいたるまで平易に解説します。
(2019年2月26日 15:30〜17:00)
硫黄は従来のリチウムイオン電池に用いられる正極材料と比較して、約10 倍の理論容量を持っており、リチウム硫黄電池は次世代高容量二次電池として期待されている。 しかし、充放電反応の中間体であるポリスルフィドが電解液に溶出し、容量が急激に低下する問題を解決しなければならず、これの不溶化のための電解液には設計の自由度が低いことが問題になっている。 本講演では活性炭のナノサイズ細孔内に硫黄を充填し、電解液と硫黄の接触を防ぐことでポリスルフイド溶出を抑制し、電解液の選択の幅を広げて出力特性を向上させる試みについて紹介する。 また、このような多孔性炭素と硫黄複合電極に適した電解液設計についても論ずる。