現在、マイクロジェットは印刷・加工技術をはじめ様々な用途で利用されています。しかし既存の主なマイクロ液滴吐出技術には、粘度・速度・キャビーションに関して各々制約があり、新しい応用展開への障害となってきました。
本セミナーでは、これらの問題を突破できる二つの新技術およびキャビテーション解析・制御新技術について、開発者の立場からわかりやすく紹介します。一つは簡易な装置で水の10,000倍の粘度をもつマイクロ液滴吐出が可能となる、高粘度液滴吐出技術です。これは現在のインクジェット印刷技術に比して粘度は500倍以上であり、高粘度液体を用いた次世代新規技術として期待されています。もう一つは最高速度850 m/s かつ直径数μmの超音速マイクロジェット吐出技術です。この速度は従来技術の100倍以上であり、マイクロデバイスにおける加工・洗浄や無針注射への応用が期待されています。さらに流路に生じるキャビテーション (気泡) は液体の制御性を大幅に下げるとともに装置の壊食にもつながる厄介な現象です。講師らは2017年に発生条件の明確な指標を発見しました。本講習会ではその解析手法から新しい制御方法まで詳しく解説します。
以上の技術を専門外の方にもわかりやすく、丁寧に紹介します。質問は随時受け付け、参加者の疑問にできる限りお答します。
- はじめに
- マイクロ液滴の利用
- マイクロジェットの利用
- キャビテーション
- まとめ
- 高粘度液滴吐出技術
- 液滴吐出装置の現状
- 高粘度液滴吐出新技術の特長
- 高粘度マイクロジェット
- 高速マイクロジェット
- 先細形状 (液滴射出口より小さい液滴の吐出法)
- 高粘度液滴吐出新技術内容
- 技術概要
- 理論背景
- 流体の運動方程式
- 撃力と粘性
- 実験結果
- 各パラメータ依存性
- 数値計算結果
- 試作機の例
- 紙面への塗布
- 多方向への吐出
- 高粘度液滴利用に関する次世代技術展望
- まとめ
- 高速マイクロジェット吐出技術
- 特徴・性質
- 基礎的メカニズム
- 装置構成
- 実験結果
- 連続画像計測結果:マイクロジェット生成過程
- 非接触圧力計測結果
- 各パラメータ依存性
- 数値計算結果
- 次世代技術への応用:無針注射器の開発
- 針つき注射器の現状
- 針の無い注射器の利点
- 無針注射器への実証実験結果
- 軟質材料への貫入実験結果
- 人工皮膚への貫入実験結果
- 貫入時にかかる応力場
- 高速マイクロジェットに関する次世代技術展望
- まとめ
- キャビテーションの解析・制御新技術
- キャビテーションの特徴・性質
- 発生の基礎的メカニズム
- キャビテーションの観察
- キャビテーションの発生条件指標
- 実例紹介
- キャビテーションとジェットの関係
- キャビテーションの制御・対策
- ナノバブルの利用
- ナノホールの利用
- ゲルの利用
- 液体への工夫
- キャビテーション制御に関する次世代技術展望
- まとめ
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