本セミナーでは、エアロゾルデポジション法の基礎から、製膜体の特性、用途展開、実用化の課題・事例、今後の展望などに関して、同技術を世界で初めて実用化・量産化された講師が、商品化の着眼点から実用化で苦労した点を含めて解説いたします。
セラミックス材料は、「さびない」「硬い」「高温まで耐える」といった特徴を有することから、金属・樹脂材料では叶えなかった用途にこれまで多く適用されてきた。近年では、部材の大型化・複雑形状化・コスト低減といった市場性ニーズも高まり、セラミックスの特性を一部分のみに付与するといったセラミックコーティング技術に注目が集まりつつある。しかしこのセラミックコーティング技術は、難溶性のセラミック粉体を基材 (母材) に被覆することから高温の加熱処理が必要であり、高温に耐えられる基材へのみの技術であった。 そのような中、セラミック微粒子をガス中に分散混合させたエアロゾルをノズルから高速で噴射し、基材に衝突させただけで基材上にセラミックス膜を形成できるエアロゾルデポジション法技術が1997年に産総研で発見された。この技術は全く熱を加えることなく、室温で基材上に比較的厚膜のセラミック製膜体を作ることができることから、セラミックコーティング業界においてはイノベーション技術として業界から注目されているが、本技術は発見から約20年経とうとしている現在、我々以外に商品化・実用化に至っていないのが現状である。 本セミナーでは、我々の商品化・実用化に至った経緯を交えながら、この技術の基礎として、製膜技術の特徴と製膜性に及ぼす各種パラメータの関係、更にはその特性を述べ、従来の製膜体との比較を行い、本技術の特徴を活かした用途展開の可能性、応用化の検討について紹介する。特に、商品化した半導体製造装置用部材については、商品化の着眼点から実用化で苦労した点について事例として紹介し、最後に本技術の更なる実用化における課題についても論じる。