一般医薬品および高薬理活性医薬品をマルチパーパス設備で取り扱う場合の大きな課題の一つは、洗浄評価基準の構築である。最新のPIC/S-GMPでは、洗浄に関して「健康ベース曝露限界値」を用いる「毒性学的な評価による」とされる。
本講座では、洗浄にかかわる最新規制と関連ガイドラインの概要、健康ベース曝露限界値の設定、数値シミュレーション事例、健康ベース曝露限界値を用いる洗浄評価への具体的な対応、今後の洗浄バリデーションのあり方について説明する。
- マルチパーパスプラントの洗浄を巡る課題
- 最近の規制改正の動きとその背景
- 明確となった専用化要件とマルチパーパス設備のあり方
- 今後の洗浄実務に要求されること
- 洗浄にかかわる最新規制 ガイドラインの概要
- EU-GMP / PICS-GM 専用化要件 (Chapter 3 ) /交叉汚染防止要件 (Chapter 5 )
- EU-GMP / PICS-GMP Annex15 (含む洗浄バリデーション)
- EMAガイドライン/PICS ガイドライン (PDE設定)
- EMAガイドラインQ&A最終版 (2018) ~洗浄に関係する項目
- PICS Aide Memoire (共用設備における交叉汚染防止) ~洗浄に関係する項目
- Risk-MaPP ガイドラインの改定内容~~洗浄に関係する項目
- ASTM 洗浄ガイドライン
- 健康ベース曝露限界値
- 健康ベース曝露限界値の定義と前提
- 健康ベース曝露限界値の計算式
- 不確実係数について
- 健康ベース曝露限界値による洗浄閾値~SRL
- 健康ベース曝露限界値を適用する時の留意事項
- 毒性データが得られない場合の対処
- 有効数字の考え
- 設定文書 (モノグラフ)
- 健康ベース曝露限界値データを巡る今後の課題
- 従来の洗浄評価基準の問題点
- イーライリリー社の評価基準の問題点
- 洗浄評価基準を巡るいろいろな意見
- 健康ベース曝露限界値を用いた洗浄評価シミュレーション事例
- PDE (ADE) 基準/従来基準による許容残滓限界の比較
- 目視検出限界との比較
- Risk-MaPP 改定版 (2017) でのシミュレーション事例
- 結果と考察
- 健康ベース曝露限界値を用いる洗浄評価への具体的な対応
- 持ち越し量閾値SRLとその意味合い
- SRLが極端に低くなる場合への対応
- 前製品次製品の摂取経路が異なる場合の対応
- 治験薬への対応
- 既存製品への対応
- バイオ医薬品への対応
- 洗浄剤への対応
- 従来の0.1%基準・10ppm基準の取扱い
- 今後の洗浄実務
- 今後の洗浄バリデーションのあり方
- テストランの回数について
- 洗浄の目標設定について
- 目視検査限界について
- リスクベースアプローチの適用