生分解性プラスチックの高性能・高機能化材料設計と成形加工技術

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本セミナーでは、バイオプラスチックの基本特性、高性能・高機能化技術、材料設計技術、成形加工技術と製品・用途開発の現状と課題について基礎から応用まで解説いたします。
また、海洋プラスチック汚染の実態と生分解性プラスチックの業界動向、マイクロプラスチックに対する有効性についても解説いたします。

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プログラム

近年、深刻化するプラスチックによる海洋汚染問題を根源的に解決する方策として、生分解性プラスチックの存在意義と役割が注目されている。なかでもポリ乳酸は生分解性機能が求められるバイオリサイクル材と長期使用耐久性が求めれる構造材料としての両面展開が可能な唯一のバイオプラスチックとして注目され、既に既存の石油系汎用プラスチックと同等以上の性能を有し、近年着実に市場を拡大しつつある。  本講では、植物由来生分解性プラスチックの基幹素材としてのポリ乳酸を中心に、様々な成形加工/製品分野に即した高性能・高機能化材料設計と成形加工技術について詳述する。これまで産学両分野で約30年間、基礎研究から技術・事業開発までの知見と実績を有する世界的第一人者による渾身のセミナーである。

  1. 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
    1. 海洋プラスチック汚染の実態と生分解性プラスチックの役割
      1. 鳥や魚、貝、プランクトン、そして人間の体内からマイクロプラスチック
      2. 海洋プラスチック濃度の経年変化 (累積増加) 曲線
      3. 海洋汚染問題に対する短期的視点と長期的 (グローバルな) 視点
      4. マイクロチップは太古の昔より存在した?…海洋に流入する流木等の草木類
      5. 自然生態系が許容し得る生分解速度…ポジティブ・コントロールはリグニン?
      6. 生分解性プラスチックの海水中での分解挙動
        • ポリ乳酸は海水中で分解するのか、しないのか?
    2. 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
      1. 地球上に生命が誕生して38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
      2. 自然界の生物が合成する高分子化合物は全て生分解性…土に、海に還る!
      3. 自然界が有する真のリサイクルシステム/物質循環 (炭素循環) へのリンク
    3. 生分解性プラスチックの識別表示と環境負荷低減効果
      1. グリーンプラ・マーク…日本バイオプラスチック協会 (JBPA) 識別表示制度
      2. カーボン・フットプリント…LCAによる環境負荷の客観的・定量的評価
    4. 持続的な資源循環型社会の建設のために
      1. 欧米グリーンガイド指針
      2. 再資源化…バイオリサイクル (堆肥化又はバイオガス化)
      3. プラスチックのCompostable (堆肥化可能) 認証基準
        • EN13432 by OK Compost or Din Certco, ASTM D6400 by BPI
    5. 欧州その他の法規制動向
      1. 欧州
        • イタリア
        • フランス
        • ドイツ
          • 環境先進地欧州ではごみ袋やレジ袋は生分解性が主流、仏は2020年に使い捨てプラ器具の50%を生分解性に切り替える法規制を制定
      2. アジア
        • 日本
        • インド
        • 台湾
  2. 生分解性プラスチックの分類、基本特性と生分解挙動/機構
    1. 代表的な生分解性プラスチックの分類と基本特性
      1. 硬質タイプ…ポリ乳酸 (PLA)
        • 生分解性機能が求められるバイオリサイクル材と長期使用耐久性が求めれる構造材料としての両面展開が可能な唯一のバイオプラスチック
      2. 軟質タイプ…
      3. ポリブチレンアジペート・テレフタレート (PBAT) 系
      4. ポリブチレンサクシネート系 (PBS, PBSA)
      5. その他…微生物ポリエステル (PHBV, PHBH) 、PGA、デンプン系
    2. 生分解機構
      1. 酵素分解型…surface erosion (表面から溶かされていく)
      2. 非酵素分解型 (加水分解型) …bulk degradation (全体的に壊されていく)
        • PLAが生分解性と耐久性の両面展開が可能な理由を生分解機構から理解する!
    3. 様々な環境下における生分解挙動
      1. 自然環境下…土壌中、海水中
      2. バイオリサイクル工程…堆肥化 (好気性下) 又はバイオガス化 (嫌気性下)
        • 理想の分解速度は使用過程の自然環境下では遅く、再資源化工程では速いこと!
  3. 生分解性プラスチックの高性能・高機能化材料設計技術
    1. 基幹素材としての第二世代ポリ乳酸…高L組成PLA (high L PLA) , %D<0.5,
      1. D体共重合比 (%D) が結晶化速度や熱的・機械的特性に及ぼす影響
      2. 高L組成PLAの改良効果…耐熱性、寸法安定性、強度、成形加工性
        • ステレオコンプレックス型ポリ乳酸 (sc – PLA) がダメな理由とは?
    2. 高性能・高機能化材料設計技術
      1. 耐衝撃性…可塑剤又は耐衝撃性改良剤、PLA+PBAT又はPBSブレンド体
      2. 耐熱性 (透明耐熱性) …分散型核剤 (溶解型核剤) 、結晶化促進剤
      3. 耐久性 (耐湿熱性) … 加水分解抑制剤
    3. 結晶化速度向上技術…耐熱性、寸法安定性、成形加工性の向上
      1. 成形加工工程における結晶化の分類
      2. Melt Crystallization
        • 押出成形
        • 射出成形
        • ダイレクトブロー成形
      3. Cold Crystallization
        • 真空成形
        • 発泡成形
        • インジェクションブロー成形
      4. 結晶化速度支配因子
      5. 共重合比/一次構
      6. 分子量
      7. 造核剤や結晶化促進剤
  4. 生分解性プラスチックの成形加工と製品設計
    1. 成形加工の物理的意味
    2. 成形加工法と成形加工性支配因子
      1. 溶融押出過程…溶融粘度、溶融張力⇔分子量、架橋密度依存性
      2. 冷却固化過程…Tg又は結晶化速度⇔冷却速度、変形速度依存性
      3. 室温
      4. Tg<室温の場合…室温下への冷却過程で結晶化が必須 ⇒ 結晶化速度
    3. 成形加工性改良添加剤
      1. 溶融押出過程…溶融粘度、溶融張力調整剤
      2. 冷却固化過程…結晶化促進剤
    4. 成形加工分野
      • 繊維・不織布・モノフィラメント
      • フィルム・シート
      • 真空成形
      • 射出成形
      • 発泡成形 (押出発泡、ビーズ発泡)
      • ブロー成形
    5. 用途・製品・市場開発動向<多数の製品写真で説明>
      1. 食品容器・包装材
        • 青果物容器
        • 使い捨て食器具
        • インスタントラーメン容器
        • 紙コップ
        • ティバッグ
        • 生ゴミ袋
        • 生ごみ水切りネット
      2. 農林・土木・園芸・水産分野
        • 農業用マルチフィルム
        • 防草・植栽シート
        • バーチカルドレインシート
        • 植樹ポット
        • シェ – ルガス採掘目止材
        • 養殖筏浮き
      3. 生活雑貨分野
        • レジ袋
        • エコバッグ
        • タオル
        • ワイパー
        • インテリア
        • シュリンク包装・ラベル
        • 封筒窓貼り
        • ブリスターパック
      4. 耐久性構造材料
        • 電子機器筐体・部品
        • 自動車内装材
        • リターナブル食器具
        • ヘルメットライナー
        • 3Dプリンター用モノフィラメント

会場

株式会社 技術情報協会
141-0031 東京都 品川区 西五反田2-29-5
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