水溶性高分子における構造、機能、その分散・分解特性と用途展開

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プログラム

第1部 水溶性高分子の概要

- 水溶性高分子の基礎物性とその活用による機能創製 -

(2019年2月5日 10:00〜13:00)

 日常生活で使用しているトイレタリー製品をはじめ、化粧品、食品、医薬品および化学品等の製剤中には、何らかの目的で水溶性高分子が配合っされていると言っても過言でない。これは水溶性高分子を少量添加するだけで、所期の使用感および機能の向上が図れ、また製剤の安定性向上にも寄与できるためである。  本講義では水溶性高分子の主な機能を紹介した後、界面活性剤共存系での水溶性高分子の作用・機能の拡大について述べる。最後に、水溶性高分子の機能創製を目指したいくつかの事例研究について紹介する。今後の水溶性高分子お機能設計および開発研究の課題解決の一助とられば、幸いである。

  1. はじめに
  2. 水溶性高分子の分類とその性質
    1. 水溶性高分子の分類
    2. 天然系水溶性高分子の原料起源
    3. 水溶性高分子を利用する際の留意事項
  3. 水溶性高分子の主な機能
    1. 水溶性高分子における水の役割
    2. 増粘・ゲル化作用
      1. 主な増粘剤の流動特性
      2. キサンタンガム/Na – CMC系の流動特性
      3. 主な増粘剤の粘度の温度変化
      4. 非水系の増粘剤
      5. 主な無機系増粘剤の凝集構造
  4. 衣類用粉末洗剤における水溶性高分子の主な機能
    1. 水溶性高分子 (高分子電解質) の金属イオン捕捉能
      1. Caイオン濃度と主な界面活性剤の洗浄力
      2. Caイオン捕捉能と洗浄力
      3. 主なビルダーの種類
      4. 水溶性高分子 (高分子電解質) のCaイオン捕捉能
    2. 水溶性高分子の再汚染防止作用
      1. 洗浄過程における汚れの離脱過程
      2. Na – CMCの再汚染防止作用
  5. 界面活性作用
    1. 界面活性作用を示す主な水溶性高分子の化学構造モデル
    2. 主な水溶性高分子のHLB値
    3. エマルサンの化学構造
  6. 被膜形成作用
    1. ヘア・スタイリング剤への応用
      1. 主な整髪剤用のポリマーの変遷
      2. 主な化粧用カチオン化ポリマー
      3. スタイリング剤用ポリマー
  7. 凝集作用
    1. 高分子凝集剤の作用機構モデル
    2. 高分子凝集剤
  8. 吸収作用 (高吸収性ポリマー (SAP) )
    1. SAPの用途
    2. 吸収能に関する要因
  9. 保湿作用
    1. 皮膚の角質層お構造
    2. キチン・キトサン誘導体
  10. 熱損傷抑制効果 (Hot irons)
  11. 水溶性高分子/界面活性剤系の相互作用
    1. 水溶性高分子および界面活性剤の機能・特性の比較
      1. 界面活性剤の構造要因とその性質・作用
    2. 水溶性高分子/界面活性剤系の相互作用
      1. 界面活性剤の溶解性向上
      2. 界面ん活性剤の表面張力低下作用
      3. 界面活性剤の可溶化作用向上
      4. 水溶性高分子の粘度増加作用
  12. カチオン化セルロース/界面活性剤混合系複合塩の利用
    1. 2-in-1 shampooのコンディショニング効果発現機構
    2. 主なコンディションニング剤の変遷
    3. カチオン化セルロース/アニオン界面活性剤複合塩の乳化作用
  13. 水溶性高分子による新機能の発掘
    1. バイオポリマーのCompact globule 粒子による乳化特性 (三相乳化)
    2. アニオン界面活性剤耐性カチオン系高分子柔軟剤 (高分子ベシクル) の柔軟作用
    3. 水溶性高分子系配管抵抗減少剤 (DR剤) による「流れ}の制御
  14. おわりに

第2部 アクリル酸系水溶性ポリマーの 構造、特性とその応用

(2019年2月5日 13:40〜14:50)

 本講では、アクリル酸系水溶性ポリマーの構造、特性とその応用、各種官能基の持つ特性と機能について説明を行う。また、各種応用例について解説もする。

  1. アクリル酸系水溶性ポリマーの構造、特性、設計について
    1. アクアリックL H (日本触媒) の紹介
    2. ポリアクリル酸 (塩) の構造と特性
    3. アクリル酸/マレイン酸系ポリマーの構造と特性
    4. アクリル酸/スルホン酸系ポリマーの構造と特性
    5. アクリル酸/PEG系ポリマーの構造と特性
  2. アクリル酸系水溶性ポリマー分野での各種用途、応用例のご紹介
    1. 洗剤添加剤用途
    2. 分散剤用途
    3. 水処理剤用途
    4. 繊維処理剤用途
    5. 架橋・コーティング剤用途

第3部 次世代ポリビニルアルコール (PVA) の 分子設計とその可能性

(2019年2月5日 15:00〜16:10)

 PVAは、絶乾状態 (相対湿度0% 以下0%RH) において熱可塑性樹脂の中で最高のガスバリア性を示すが、融点と分解開始温度の差が小さく、可塑剤 (水等) の助けを借りないと押出成形が困難な樹脂である。PVAのガスバリア性を大きく損なうことなく、押出成形を可能とするためにエチレンビニルアルコール共重合体 (以下、EVOH) が開発され、食品包装、ガソリンタンク等の多方面に利用されている。気体の透過に関しては、CohenおよびFujita等による自由体積理論があり、気体の拡散係数はfree volume分率に支配されている。EVOHのfree volumeは既に測定されており、その半径は0.2~0.4nmである。EVOHの酸素バリアー性がPVAよりも劣るのは融点低下のために導入したエチレンの分子運動性が高いためである。  これらの事からガスバリア性の向上には非晶の分子運動性の抑制が重要となってくる本報では、非晶相の分子運動性を抑制し、かつ結晶性を制御することで、ガスバリア性の向上と溶融成形性とを両立できる高分子構造の設計とその可能性について紹介する。

  1. はじめに
    1. ポリビニルアルコール系樹脂の概要
    2. 機能性ポリビニルアルコール系樹脂の変遷
    3. ポリビビニルアルコール系樹脂の用途例
  2. ガスバリア性の制御
    1. 自由体積について
    2. ガス透過度と自由体積空孔サイズの関係
    3. 各種既存高分子材料の自由体積
    4. 高性能ガスバリア材の設計思想
  3. 構造制御
    1. 各種変性種や組み合わせの影響
    2. PVA系樹脂の非晶相制御の程度とその効果
      • 結晶化挙動への影響
      • 自由体積の制御
      • 加工性への効果 等
    3. ポリマーアロイ検討例 (ポリアミド、ETFE、ポリオレフィン等)
      • ポリマーアロイにおける結晶化挙動への影響
      • ポリマーアロイ
        固体NMRによる分子運動性と規格化と自由体積を用いた非晶相補強効果の考察
  4. 用途展開の例
  5. まとめと課題

第4部 天然系高分子 増粘多糖類の種類とその応用

(2019年2月5日 16:20〜17:30)

  1. 増粘多糖類について
    • 増粘多糖類の種類
    • 取り扱い時の注意事項
  2. 主に増粘剤として機能する増粘多糖類
    • キサンタンガムの特徴と応用
    • グァーガムとその誘導体の特徴と応用
    • セルロース誘導体の特徴と応用
  3. 主にゲル化剤として機能する増粘多糖類
    • ジェランガムの特徴と応用
    • カラギーナンの特徴と応用

会場

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