第1部. 触感に反応する脳反応測定と感情状態の可視化
(2019年2月13日 10:00〜11:30)
物に触れるということから得られる心地よさは人々にとって重要なファクターであるが、これを脳科学的に検証することには多くの困難がある。これについて、原稿どのような問題点があるのか、その解決方法などとともに、最新の知見を紹介する。
- 触知覚の神経基盤
- 様々な受容器と対象触感
- 様々な神経線維と対象触感
- CT神経線維の発見と快触感の関係
- 触知覚に関わる皮質領域
- 想定される脳内ネットワーク
- 感情認知の神経基盤
- 感情はどう捉えられるか?
- 感情関連皮質部位
- 感覚モダリティを超えた感情認知
- 島皮質と感情認知の関連性
- 脳を捉える手段とその限界
- 現状の非侵襲脳測定法の概観
- fMRIで捉える触感関連脳反応
- 脳波で捉える触感関連脳反応
- 脳を簡便に測るには
- 脳波を用いた簡便な脳計測とその限界
- 融合科学としてのコグネティクス
- 認知神経科学の限界と克服方法
- コグネティクスの考え方
- 産学連携研究の重要性と今後の研究のあり方
第2部. 触覚・力感の知覚メカニズムの理解とその応用事例
(2019年2月13日 12:15〜13:45)
触感や力感は、持ちやすさや操作感といった機能的価値を決めるだけでなく、質感や高級感にも影響を与える、非常に重要なモダリティです。本講演では、皮膚や筋内に存在する受容器を介して人が得る触・力感の知覚メカニズムについて概説するとともに、その評価手法と応用事例についても紹介します。
- 触感の知覚メカニズム
- 触感の基本感覚
- 皮膚感覚受容器の分類
- 触覚受容器の形態
- 触覚受容器の応答特性
- 神経発火モデル
- 体表面における触覚特性
- 感覚計測法
- 把持と滑り
- 滑り知覚
- 滑り計測による触感の予測
- 力感の知覚メカニズム
- 筋骨格系
- 筋と固有感覚受容器
- 重さ感に影響する諸因子
- 持ち方と力感
- 姿勢と力感
- 筋骨格系と身体の動かしやすさ
- 筋骨格系と手ブレ
- 力覚フィードバックの効用
第3部. 化粧品の触覚使用感の可視化と定量化に基づく製品設計
(2019年2月13日 14:00〜15:30)
このところの化粧品開発は、付け心地や塗布する時の使用感を快適にするために中味技術の差別化を求めて試行錯誤を重ねています。官能評価の結果には不確かさや曖昧性、あるいは誤った開発方針や計画の影響もあるため、消費者試験を重ねても重要な技術情報が埋もれてしまう失敗事例はどこのメーカーも経験しています。 使用感の知覚要素を一つずつ分類し、機器測定データとして整理してゆくと、消費者の使用感に関わる知覚要素はいくつかの簡単な測定物性で解析できることが分かります。 近未来には、これらの知覚と物性の間の複雑な関係を人工知能AIが手助けし、仮想現実VRや拡張現実ARが消費者一人一人に最適な化粧品を提供する社会が訪れます。ところがAIやVRやARを駆使しても、化粧品の中味の技術データがなければ新商品開発は暗中模索です。
近未来の化粧品開発を支える機器測定方法を解説します。
- 化粧品の嗜好性と使用感
- 使用動作と使用感の知覚要素
- 中味技術情報とブランド力
- 近未来の化粧品開発における人工知能の役割
- 使用感の機器測定方法
- テカリ感と透明感のある明るい肌のツヤ感とマットな隠ぺい力をもたらす粉体の違い
- アスペクト比と粉体形状係数
- フワッと軽くのびる粉体の心地よさと嵩密度と動摩擦係数
- 均一にのびてピタッとつく付着力と分散性と結合油剤の影響
- 隠す効果とぼかす効果の光学的機能の差異と粉体形状と屈折率の関係
- 化粧くずれを防ぐ持続性の官能指標と粉体の物性機能
- ファンデーションの皮脂濡れによる外観の変化と撥水撥油効果をもたらす表面処理
- 粉体化粧品の保湿力の評価
- 製品開発に用いる機器分析の常用項目
第4部. 触感の可視化と製品応用事例
(2019年2月13日 15:45〜17:15)
ゴム製グリップの触感評価を例に触感評価の方法を解説する。主観評価と触感に関係する物性値との相関関係から統計的に数値化を試みる。さらに物性に関する相関の大きい特徴値の抽出方法として、ゴム材料特有の「べたつき感」を例に紹介する。また、材料の質感を簡単に制御する例として、表面の凹凸付与により表面の質感を制御した例を紹介する。
- 触感評価の手法
- 触感評価の具体例
- ゴム製グリップの触感評価
- グリップに使用するゴム材料
- べたつき感の評価方法
- 触感に関係の深い特徴値の抽出
- 簡単な質感の制御について
- 質感表見の方法
- シボ (表面凹凸生成) による質感制御
- シボのある表面の触感評価