第1部 硫化物系固体電解質の開発状況と作製技術
(2019年1月25日 10:30〜12:10)
安全性、信頼性に優れたデバイスである、全固体型のリチウム電池の実現が期待されている。全固体電池の性能は固体電解質に強く依存する。固体電解質材料の分類や、特徴、合成法などをふまえて開発状況について紹介する。特に高いイオン導電率を示すLi10GeP2S12系電解質を実例として、基礎的な合成、評価手法から電池作成の流れを説明する。また、全固体リチウム電池の性能や課題について、最新の動向を踏まえて講義する。
- 全固体電池とは
- 全固体電池の動作原理と期待
- 実用化の課題と固体電解質の重要性
- 固体電解質開発の基礎
- 固体電解質の特徴と課題
- 固体電解質の合成、構造・特性評価
- 硫化物系固体電解質の開発現状
- 有機電解液に匹敵する導電性を示す物質 – LGPS -
- 固体電解質としての性能
- 特性向上への指針と最新の開発事例
- 硫化物系全固体電池の性能と特徴
- LGPS固体電解質を用いた全固体電池性能
- 全固体電池の将来展望、実現への課題
第2部 硫化物系全固体電池における電極/電解質界面の設計と構築
(2019年1月25日 13:00〜14:40)
リチウムイオン電池の全固体化は、有機溶媒電解質に起因する問題を解決するものとして期待されている。講演では、リチウムイオン電池の全固体化に向けて開発された固体電解質、それらを使用した際に界面で生じる課題ならび解決に向けた取り組みについて紹介するとともに、高容量負極の可能性についても言及する。
- リチウムイオン電池の全固体化
- リチウムイオン電池の課題
- 全固体化への期待
- リチウムイオン伝導性固体電解質
- 硫化物固体電解質系全固体電池における正極界面
- 硫化物固体電解質系における課題
- 正極界面におけるナノイオニクス
- ナノイオニクスに基づく界面設計
- 高出力界面の構築
- 計算科学からのアプローチ
- 硫化物固体電解質系全固体電池における負極界面
- 全固体電池におけるシリコン合金負極
- シリコン合金負極のサイクル特性
第3部 硫化物系固体電解質の構造解析とイオン伝導性の向上
(2019年1月25日 14:50〜16:30)
本講座では、これまでのイオン伝導ガラスの開発研究において主流ではなかった金属硫化物Al2S3に着目し、いくつかの硫化物系イオン伝導ガラスの構造解析結果に基づいて設計・合成したNa2S – Al2S3ガラスのイオン伝導性について報告します。さらに、中性子と放射光X線を併用したガラスの構造解析も行い、ガラス中に発現したイオン伝導性と構造との関係性についても議論します。
- 研究背景
- 全固体Naイオン電池と固体電解質材料としてのイオン伝導ガラス
- これまでのNaイオン伝導ガラスの開発と構造研究
- 構造解析の結果に基づいたNa2S-Al2S3ガラスの開発指針
- Na2S-Al2S3ガラスの創製
- メカニカルアロイング法によるNa2S-Al2S3ガラスの合成
- 交流インピーダンス法によるNa2S-Al2S3ガラスの電気伝導度測定
- Na2S-Al2S3ガラスの構造解析
- 中性子・X線の散乱と二体分布関数解析の基礎
- Na2S-Al2S3ガラスの中性子・放射光X線回折測定
- Na2S-Al2S3ガラスの二体分布関数解析による短距離構造の解析
- 逆モンテカルロ法によるNa2S-Al2S3ガラスの3次元原子構造モデルの構築
- Na2S-Al2S3ガラスの構造とイオン伝導性
- 3次元原子構造モデルの解析によるNa2S-Al2S3ガラス中のNaイオンの存在環境
- Na2S-Al2S3ガラスのイオン伝導経路の解析
- まとめ