ソフトマターにおける粘弾性相分離のメカニズムと材料開発への応用

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本セミナーでは、相分離の基礎から、粘弾性相分離の原理・シミュレーション・応用まで、直感的に理解がしやすいように、動画を交えて解説いたします。

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プログラム

ソフトマターには、高分子溶液系、コロイド分散系、タンパク質溶液に代表されるように、大きてのろまな分子と小さくてすばしっこい分子からなる、動的な性質が大きく異なる成分の混合物 (動的に非対称な混合系と呼ぶ) が数多く存在する。また、成分間のガラス転移温度に大きな差があれば、動的非対称性は金属、酸化物混合系を含むあらゆる物質群に存在する可能性がある。  我々は、これらの動的非対称系において、従来の相分離の常識では理解不可能な特異な相分離挙動を発見し、「粘弾性相分離」と名づけた。また、この相分離現象が特定の物質系に限定されず、動的に非対称な混合系において普遍的に見られることを示してきた。この相分離では、常識に反し、遅いダイナミクスを持つ成分がたとえ少数相であっても、空間的に連結したネットワーク構造を過渡的に形成する。相分離パターン・運動学的経路の選択という観点からは、従来の相分離パターンが熱力学的な力のバランスにより決まるのに対し、この相分離では、系全体にわたる力学的な力のバランスがパターン選択の重要な因子となる。特に、相分離に伴う変形速度が系の緩和速度をはるかに上回る場合には、相分離がせん断変形に対する破壊により進行する破壊型相分離が観察されることも明らかになった。さらに、最近の研究により、これらの動的非対称系の相分離は、変形下で起きるガラス状物質の破壊様式 (延性・脆性破壊) と深い関係があることも明らかとなった。  本講演では、相分離の基礎から、様々な系で見られた粘弾性相分離、そのメカニズム、さらには、破壊現象とのかかわり、その材料科学への応用について、動画などを用いわかりやすく説明する予定である。

  1. 相分離の熱力学の基礎
    1. 相分離現象を記述する自由エネルギー
    2. 核形成とスピノーダル分解
  2. 相分離ダイナミクス
    1. 相分離過程で、ドメインはどのようにして粗大化するのか
  3. 粘弾性相分離 (実験)
    1. 高分子溶液の場合
    2. コロイド分散系の場合
    3. たんぱく質溶液の場合
    4. せっけん膜系の場合
    5. ガラス転移点の大きくことなる2成分系の場合
  4. 粘弾性相分離の理論とシミュレーション
    1. 粘弾性相分離の直感的理解
    2. 粘弾性相分離を記述する理論モデル
    3. コロイド分散系のシミュレーション法 (流体粒子ダイナミクス法)
    4. コロイドの粘弾性相分離のシミュレーションによる完全予測
  5. 粘弾性相分離と破壊現象の関係
    1. 粘弾性相分離は力学に支配された相分離
    2. 液体のキャビテーションとアモルファス物質の破壊現象
  6. 粘弾性相分離の材料開発への応用

会場

連合会館
101-0062 東京都 千代田区 神田駿河台三丁目2-11
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