感性に基づく質感向上技術
(2018年12月13日 10:00〜11:30)
「しっとりした」や「高級感のある」といった素材の表面性状 (以下テクスチャ) に対する印象は感性的質感と呼ばれる.感性的質感は物の良し悪しや好ましさを評価,判断する上で,形や色,機能と同様に重要な意味を持つ.そのため,近年プロダクトデザイン分野において感性的質感を理解、制御する技術が求められている.
本講座では、自動車内装材を対象とした感性的質感を制御・生成する枠組みについて述べる。また、本枠組みを用い、視覚と触覚それぞれについて、所望の感性的質感を有する自動車内装材を実際に作成し、効果検証を行った事例についても併せて報告する。
- はじめに
- 経済価値から感性価値へ
- 自動車内装材における感性価値の創造
- 感性的質感
- 感性的質感生成技術 (視覚)
- 視覚的質感の定量化
- 視覚的質感を表現する物理特徴量
- 視覚的質感と物理特徴量の関係性のモデル化
- 所望の視覚的質感を有するテクスチャの生成
- 感性的質感生成技術 (触覚)
- 触覚的質感の定量化
- 触覚的質感を表現する物理特徴量
- 触覚的質感と物理特徴量の関係性のモデル化
- 所望の触覚的質感を有するテクスチャの生成
- おわりに
第2部 プラスチックの加飾を用いたテクスチャの質感向上
(2018年12月13日 12:10〜13:40)
スバルのデザインは、全てに「機能の裏付け」と「意味」がある。
デザインとは、創り手と受け手のコミュニケーション手段であり、お客様に向けて「嬉しいと感じる“価値”」を提供するのが、我々デザイナーの使命と役割である。
本講座では、プラスチックを主体に様々な素材を活かした本質のデザインと、デザイン視点でのスバルのクルマ造りの考え方を知ることが出来る。
- SUBARU DESIGN
- スバルデザインとは?
- スバルデザインの考え方
- スバルデザインフィロソフィー「Dynamic×Solid」と、スバルCMFデザインフィロソフィー「インパクトと深み」について
- お客様を知る、ユーザーの“マインド”をデザインする
- CMFデザインについて
- CMFデザインとは?
- CMFデザインの役割
- CMFデザインと機能の関係
- 素材と質感
- 金属、革、布…様々な素材の特性と特徴を知る
- プラスチックを操る…色・柄・ツヤ・明暗・シボ・テクスチャーなどなど
- お客様を惹きつける空間演出
- 仕立てと造り込み
- コントラストで魅せる
第3部 シボ加工による自動車内装材の質感向上技術
(2018年12月13日 13:50〜15:20)
- エッチング加工
- 工法と特徴
- 材料表面へのマット感・つや消し感付与について
- 使用用途:インスト・ドアー・ピラー・シート廻りの量産用金型、試作用金型
- バナトーン加工
- 工法と特徴
- 材料表面へのマット感・つや消し感付与について
- 使用用途:モーターショー用コンセプトカー
- セラシボ加工
- 工法と特徴
- 材料表面へのマット感・つや消し感付与について
- 使用用途:自動車のデザインマイナーチェンジなど
- リアルサーフェーステクノロジー加工
- 工法と特徴
- 材料表面へのマット感・つや消し感付与について
- 使用用途:セラシボ再現性確認とコンセプトモデルへの使用
- セラマット加工
- 工法と特徴
- 材料表面へのマット感・つや消し感付与について
- 使用用途:グロスが高く勘合部品とのグロス差が質感を落としている物、塗装でコスト高になっている物
- ナノフィール加工
- 工法と特徴
- 材料表面へのマット感・つや消し感付与について
- 使用用途:グロスが高く勘合部品とのグロス差が質感を落としている物、塗装でコスト高になっている物
- G COAT加工
- 工法と特徴
- 材料表面へのマット感・光沢感付与技術
- 使用用途:成形不良による製品白化対策、質感向上を目指す新技術
第4部 質感の評価と指標化技術
(2018年12月13日 15:30〜17:00)
多くの製品開発現場では、「感性価値」と呼ばれる数値化しにくい価値の管理方法がわからずに、開発が進んでしまっています。こうした開発現場の切実な思いに応えてくれる数少ない方法論が「感性品質 (Perceived Quality) 」です。すでに、乗用車開発の現場で18年間にわたり活用され、成果を上げてきました。
当手法は社内評価者による定性的な評価手法であり、継続的な取り組みでその精度を上げるヒューリスティックなアプローチです。
- はじめに
- 乗用車開発の事例
- 経緯
- 品質管理の視点
- 日産PQ
- 経営上の役割
- 組織的位置付
- 適用範囲の決定
- 事例紹介
- 評価体系
- PQの定義とは
- 検証プロセス
- 他業種での活用方法
- 導入ステップ
- 体制と人材