化学工学の守備範囲は極めて広く、方法論の学問であるとされてきた。しかし化学工学はそれぞれ対象とする現象/操作ごとに別々の方法を開発し利用してきた学問と言わざるえず、化学工学は一貫した考え方に基づく方法論の学問ではなかったと判断せざるを得ない。混合操作と分離操作とは互いに表裏の関係にある操作でありながらそれぞれ全く別の視点から議論されてきた。化学工学が方法論の学問であるといいきるには、少なくともこれらの表裏の関係にある操作が共通の視点で捉えられることが不可欠である。化学工学にとって異分野の眼鏡である「情報エントロピー」をかけることにより、混合操作と分離操作を同じ視点で議論することができる。
この「情報エントロピー」の視点をさらに展開することにより乱流場の構造についての新たな知見を得ることができ、理論的背景が明確な撹拌槽のスケールアップ手法も確立することができる。
- はじめに
- 情報エントロピー
- はじめに
- 情報
- 情報量
- 結果が知らされる以前に持っている平均の情報量
- 連続変化量に対する情報エントロピー
- 情報エントロピーが最大値をとる確率密度分布関数
- 人間の数量に対する感覚と情報エントロピー
- 混合操作
- はじめに
- 混合特性の評価指標
- 過渡応答法に基づく混合特性の評価法
- 流通系混合装置
- 回分系混合装置
- 槽内の物質の槽内各領域移動に基づく混合特性の評価法
- 多成分を対象とする混合特性の評価法
- 補遺 通気撹拌槽
- 補遺 気泡塔
- 補遺 円管
- 補遺 晶析装置
- 補遺 指標間の関係
- 乱流現象
- はじめに
- 速度変動の確率密度分布関数
- エネルギースペクトル確率密度分布関数
- 撹拌槽のスケールアップ則
- 情報エントロピーの利用
- 粒子径分布
- 補遺 液 – 液撹拌
- 補遺 通気撹拌
- 補遺 晶析装置
- 補遺 ボールミル
- 安心と不安
- 期待度・不安度曲線
- 意思決定
- 補遺 期待度・不安度曲線の妥当性 (2)
- 補遺 階級分け
- 補遺 安全率
- 補遺 黄金律
- 補遺 目指すな求めるなパーフェクト混合
- 補遺 なぜ60点が合格点
- おわりに
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