近年異常気象が、我が国を含む世界各地で生じ、これが地球温暖化に由来することが判明している。そのため、石油製品であるプラスチックが槍玉にあがり、スタバのポリストロー廃止宣言は話題になった。加えて海に流れ出た廃プラスチックがマイクロプラスチックになり、生態系を壊していることからもプラスチック使用の減少が急務になっている。そこで、政府もプラスチック製品の代替として、にわかに生分解プラスチックおよび紙由来製品を提唱している。歴史の古い紙材料にとっては紙復権とも言えるのだが、紙材料の基本知識は意外と知られていないし、またその物性には未知の部分も多い。
本セミナーは、紙の物性およびそれを規制する紙構造を中心に、紙材料の基礎を概説する。
- はじめに
- 紙の歴史と変遷
- 紙パルプ産業の特徴、現状と展望
- 紙の原料
- 紙の原料になる木材
- 木材を構成する化学成分
- パルプとその漂白
- 機械パルプ
- 化学パルプ
- リサイクルパルプ
- 漂白
- 抄紙
- 紙層形成過程の観察
- 紙料調成
- 叩解
- 調成時に添加する物
- 紙加工
- 紙の構造
- 紙構造の3次元観察
- 顔料塗工紙の観察
- 紙の構造を表す基礎的数値
- 紙構造の不均一性
- 紙の厚さとその測定法
- 紙表面構造とその測定法
- 紙の空隙構造とその測定法
- 紙の物性
- 光学的性質
- 紙面方向での力学的性質
- 引張下での紙に生じる諸現象
- 常用力学試験
- 単繊維強度
- 水分 (相対湿度) の影響
- 厚さ方向の力学挙動
- 圧縮性
- 厚さ方向の強度
- 剥離試験
- その他紙の使用において重要な物性
- 紙のこし (こわさ)
- 紙の摩擦
- 紙の印刷
- まとめ