新製品/サービスの開発では、新しい顧客や市場を考える必要があるが、開発段階で製品/サービスに合った顧客や市場をイメージするのは非常に難しい。このように、問題が曖昧で実現への不確実性も高い場合、企画側や実施側など多種多様なバックグラウンドを持つ専門家の協業による対処が必要とされる。しかし、企画側と実施側の意思の疎通、部署間連携、上司・部下/若手・ベテランのコミュニケーション、技術起点と顧客起点の融合等、問題は山積みである。 我々は2008年より、チームにおけるこのような種々の問題の総合的な解決のために、デザインブレインマッピング (DBM) という手法と道具 (広義のソフトウェア) を開発している。DBMは関係性に着目した対話促進のためのツールで、協業のために各人のブレイン (頭の中) をマッピングし (重ね合わせ) 、思考バイアス等の気づきや価値軸、感情や主体性をデザインするものである。問題自体や範囲が未確定で解決の方向性を探索するような議論を扱い、「思考バイアスの破壊協業」「思考外在化による距離感把握」「アイデア出し・創発から選択決定の合意形成まで」を守備範囲としている。産業競争力懇談会 (COCN) 「コトづくりからのものづくりへ」での議論を起点としており、構想設計コンソーシアム、共同研究、技術コンサルティング等の企業との活動により、DBMが前述した種々の問題の解決に寄与することを検証している。 本セミナーでは、これまでの活動で蓄積されたエッセンスを踏まえて、ファシリテーションやリーダシップなど、属人性に依存するスキルではなくチーム全体の力を底上げするメソッド、及び、チーム内のすべての人にクリエイティブ能力を発揮させる仕組みについて解説する。チームのポテンシャルを最大限引き出し、結果につなげるための実践的行動に役立つ内容とともに、若手が今後の方法を学びベテランには学び直しをクイックに行える解決のキーとなる基本的な考え方を紹介する。また、匠の知見の継承や若手のアイデアの具現化等の世代間コラボの促進に役立つような具体的内容についても、その一部を紹介したいと思う。