スマホとともに成長したCMOSイメージセンサの撮像性能は早や成熟期に到達し、新しい撮像技術の開発軸は大きな転換点にさしかかっている。CMOSイメージセンサ単体の機能進化、新しいイメージセンサの開発、ComputingやAI技術などシステム融合による機能創出といった進化がそれである。 本講の前半ではCMOSイメージセンサの性能成熟、機能進化という現状を理解する。スマホの要求に沿って進化した撮像性能は理論限界に接近し、その進化軸は機能進化へ舵を切った (現在完了) 。撮像用途の拡大、すなわち現在の主役スマホなどの“Viewing”から次の主役の自動運転やコミュニケ – ションロボットなど“Sensing”への拡大がその推進力であり、3D撮像など画素内への機能進化、3D積層による画像処理機能などの進化がその具体例である (現在進行形) 。次いでCMOSセンサの成熟を踏まえて急進展する新しいイメージセンサの研究開発動向を紹介する。有機光電膜や量子ドット膜など積層センサ、近赤外センサ、新概念のセンサがそれである (近未来) 。 次に大きな撮像システムの進化、すなわちImagingとComputingの融合について解説する。高度に発達しつつあるCMOSイメージング技術、AIディープラーニングなどのソフトウエアそしてビジョンチップやAIチップなどプロセッシングLSIが技術進化の原動力である。”Viewing“から”Sensing“への用途拡大がその推進力で、スマホカメラの更なる進化や自動運転など機器の自律化を促す。こうした技術進化を“3D Vision”、“Sensor Fusion”などのComputational Imaging技術と“Computer VisionからAI Embedded Vision技術へ”という切り口で解説する。