(2018年11月22日 10:00〜13:40)
シリカ粒子は、さまざまな分野で利用されている材料である。特に表面改質や液中・固体樹脂中への分散のためには、シリカ表面に関する情報が必要不可欠である。 セミナーでは、シリカ材料の一般的な特徴や性質、シリカの表面構造と表面水酸基や改質基の評価、液中への分散に関する基礎とその例を解説する。
(2018年11月22日 13:50〜15:20)
シランカップリング剤とは、分子中に無機材料と化学結合する反応基 (加水分解性シリル基) と、有機材料と化学結合する反応基とを併せ持つ化合物の総称である。そのため無機材料と有機材料とを結ぶ仲介役としての働きをすることから、有機/無機複合材料の機械的強度の向上、接着性の改良、樹脂改質、シリカ等のフィラー表面改質等の多種多様な用途に使用されている。 本講演では、既存のシランカップリング剤の応用事例だけでなく、既存のシランカップリング剤では性能発現が成し得ない需要に応じるべく開発されたシランカップリング剤を、応用事例を含めて紹介する。
(2018年11月22日 15:30〜17:00)
シリカをはじめとしたナノサイズの無機材料をフィラーとしてポリマー中に分散・複合化させたナノコンポジットはポリマー材料の力学特性向上、機能化技術として注目されていますが、幅広く実用化されているとは言い難い状況です。従来のナノコンポジットの調製において用いられているシランカップリング処理に代表されるフィラーの表面疎水化処理は、ナノフィラー凝集問題を解決し分散性向上を実現するという点で優れた技術です。それ故、現在のナノコンポジットは、表面が疎水化されたフィラーがポリマー母材との間にぬれの良い界面が形成することを前提とした材料設計となっているため、ぬれが悪い状態で分散・固定化されたナノコンポジットという概念さえもなく、このタイプのナノコンポジットの材料特性については全く分かっていません。今後のナノコンポジット開発の方向性を見定めるためにも、まずは材料内部に形成される広大な無機ナノフィラー/ポリマー母材間界面がナノコンポジットとして発現する特性にどのように寄与するのか、そのメカニズムを明らかにして、ナノコンポジットの潜在能力を今一度精査することが重要と思われます。 本講演では、そのための基礎的知見となるシリカの表面疎水化処理を用いないシリカ/ポリマー系ナノコンポジットの諸特性を、いくつかの開発事例をもとに従来型ナノコンポジットとの特性を比較しながら紹介します。また、従来技術では必須とされているシリカの表面改質処理を用いないで如何にしてポリマー中へ分散・固定化させるか、そのテクニックとポイントについて解説します。講演の後半では、ナノフィラーの分散維持だけにとどまらない精密配列制御をも可能とする新たなシリカ/ポリマー系コンポジット膜の調製事例と光学材料としての用途展開についても紹介し、シリカフィラーをはじめとした表面非改質無機/ポリマー系ナノコンポジットの展望についても言及します。