第1部 フィラーを活用したプラスチックの耐衝撃性向上技術
(2018年11月30日 10:00〜11:30)
プラスチック材料を工業材料として使用する場合、耐衝撃性は非常に重要な特性となる。ポリマーの耐衝撃性を向上させる技術としては、 (1) エラストマーの活用技術、 (2) ポリマーアロイ・ブレンド技術、 (3) フィラーの活用技術が考えられる。 中でもフィラーを活用する方法は、衝撃強度と弾性率 (剛性) の相反する特性を同時に向上できるなどの優れた利点を有している。そのためフィラー強化複合樹脂は、現在ではフィラー形状制御や複合材料の構造制御等により高性能化が図られ、重要な工業材料として幅広く使用されている。
今回は、こうした複合材料の高性能化、特に耐衝撃性向上技術に関して概説する。
- フィラー形状制御 (微粒子化) およびモルフォロジー制御による複合材料の高衝撃化
- 、繊維状フィラーの形状制御 (長繊維化) と界面制御による複合材料の高衝撃化
- 複合材料成形体の構造制御による高衝撃化
- 成形加工プロセスを活用した成形体の高衝撃化
第2部 ポリマーアロイ、ポリマーブレンドによる耐衝撃性向上
(2018年11月30日 11:40〜13:10)
構造材料としての高分子材料には耐衝撃性・耐熱性・柔軟性・寸法安定性、耐候性、軽量性、易加工性など様々な性能が要求されるが、これらは相互に二律背反的である場合が多いが、これを解決するために、すでに20世紀において非相溶系のポリマーアロイ技術が確立されている。 しかし、最近の市場からの要請はより高水準の性能・機能の要求になっている。幸いなことに2010年代以降、ナノ/ミクロの両サイズレベルでモルフォロジーを同時に階層的に制御する「第四世代ポリマーアロイ」技術が顕著に進展している。
本講では、耐衝撃性の改良・向上の視点から第四世代アロイ技術の特徴を捉え、解説する。
- 高分子材料への要求特性と分子構造
- 耐衝撃性
- 衝撃・破壊の機構
- 衝撃強度試験法の理解
- 耐衝撃強度と高分子の分子構造
- ポリマーブレンド系の耐衝撃強度
- 耐衝撃性と耐熱性
- 耐衝撃性と柔軟性
- 耐衝撃性と加工成形性
- 二律背反的な諸物性の同時改良技術
- 第一世代ポリマーアロイ技術
- 第三世代ポリマーアロイ技術
- 衝撃吸収機構とポリマーモルフォロジー
- 第四世代ポリマーアロイ技術と耐衝撃性
- ナノサイズモルフォロジーの形成
- ナノサイズ分散ポリマーブレンド系の物性
- 第四世代ポリマーアロイ技術を支える要素技術
- 第四世代ポリマーアロイの工業化の実例
- 第四世代ポリマーアロイ技術の今後の進展の可能性
第3部 特殊な分子構造を施すことによる樹脂の耐衝撃性向上
(2018年11月30日 13:50〜15:20)
- 軽量かつ優れた耐衝撃性を有する中・長鎖ポリアミド
- 構造と特性
- 「ひまし油」原料、植物由来の炭素比率による物性変化
- 密度と軽量化
- 機械的特性と耐衝撃性について
- 曲げ弾性率、引張弾性率、降伏強度、破断伸度
- 高温での耐衝撃性、低温での耐衝撃性
- 衝撃強度と引張弾性率との相関
- DMA (3点曲げ法) 、シャルピーノッチ付き衝撃強度試験
- 自動車用樹脂としてのその他の特性
- 塩化カルシウム (融雪剤) 等への耐薬品性
- 低吸水性
- 低融点、他
第4部 発泡成形による樹脂の軽量化と強度向上方法
(2018年11月30日 15:30〜17:00)
プラスチック発泡体は材料低減、軽量化、断熱性向上等といった多くの有益な特性を有していが、気泡の含有による応力集中現象で強度が低下することが大きな欠点となっている。
ここでは、発泡の原理に基づいた発泡プロセス、並びに発泡体の強度に寄与する因子とこの因子に基づいた具体的な強度向上の手法について説明する。
- 発泡原理に基づいた発泡プロセス
- 発泡原理の定性的説明及び発泡成形法
- バッチ式発泡成形プロセス
- 連続発泡成形システム
- 発泡体の強度に及ぼす因子及び強度向上手法
- 微小気泡による強度向上
- 分子配向による強度向上
- スキン層による強度向上
- GCP (ガスカウンタープレッシャー) を用いたスキン層形成方法
- 微小繊維による強度向上
- 圧延加工による強度向上