第1部 味覚のメカニズムとおいしさ発現のしくみ
(2018年12月10日 10:00〜12:00)
“おいしい”という感覚は食べ物を口にすることで得られた味という情報を脳内処理した結果生じるものですが、これはどのようなメカニズムによるものでしょうか。
本講座では、おいしく味わって楽しく食べる体の仕組みを、味覚生理学や脳科学に基づき解説します。 最初に、味覚の特性、味を受け取る味蕾の細胞の働き、味という神経情報がどのように脳内まで運ばれるのかを説明します。次に、味の情報には、甘い・苦いといった“味の質的な情報”と、おいしい・まずいといった“快・不快に関する情報”が含まれことから、大脳皮質における“味の質の情報処理機構”と“おいしさの脳内機序”に関して話を進めていきます。特に、おいしさのメカニズムを理解するのに重要なおいしさと脳内物質の関係を詳しく述べます。これらの知見を踏まえ、最後には、食べ物には好き嫌いや偏食がありますが、そのような嗜好性が生じるメカニズムについても解説し、また、健康的な食生活のためのおいしくて栄養のある食事についても考えます。
- 味覚の末梢受容機構
- 味覚の特性
- 味の種類 (基本味とそれ以外の味)
- 味蕾と味細胞
- 味を受け取るしくみ
- 味を感じる能力 (味覚閾値)
- うま味とコク
- おいしさのメカニズム
- おいしさとは?
- おいしさの分類と成り立ち
- おいしさに関わる脳部位
- 報酬系
- おいしいと思わせる脳内物質
- おいしさを求める脳内物質
- 摂食促進ペプチド
- おいしさと過食・やみつき・別腹
- 香りの効用
- 嗅覚と味覚の相違点
- 香りと味の相互作用
- 香りの学習
第2部 味覚センサ活用事例と味覚データの マーケティングへの応用
(2018年12月10日 12:45〜14:05)
弊社は味覚センサを使用し、5万アイテム以上の測定を行ってまいりました。味を数値化する味覚センサをうまく活用するには技術的な面と味を理解する感性も必要になってくると考えております。 本講演では味覚センサの測定から活用までの流れやコツを、活用事例・体験を交えてわかりやすくご説明させていただきます。
- 味覚センサについて 装置について簡単な説明
- 味合成基準液 試薬で作るコントロールアイテムのご紹介
- 前処理について もちろん前処理で味わいが変わります
- 味覚センサと官能表現 味数値の解釈をするには?
- 味覚センサ活用事例 弊社活用事例を交えて
- 注目すべき味 味覚センサがあるからわかりやすい味
- 先味、後味、口溶け、コク
- 隠し味とは? 甘味の裏にある味わい~チョコレートを用いて
第3部 味覚センサによる味の見える化による 食品開発と製剤設計開発
(2018年12月10日 14:15〜15:35)
- 味覚センサーによる味の「ものさし」 (味の単位) 創り
- 味の修飾の見える化
- 味のキレ・持続性の評価
- コク・雑味の評価
- とろみの影響
- 油の影響
- 温度による味への影響
- 苦味のマスキング効果
- 食品開発への応用
- 消費者の味の好みを見る
- 好みの年齢による差を見る
- 好みの地域差を見る
- お値打ち感や高級感を見るには
- 味の最適設計への活用
- 味を目標に合わせるには
- 味を目標にあわせながらコストダウンを図るには
- 味を伝える
- 賞味期限設定
- 製剤設計への応用
- 薬物の苦味強度や苦味閾値の推定
- 口腔内崩壊錠苦味マスキング効果の評価
第4部 味の数値化による地域食品産業への応用
(2018年12月10日 15:45〜17:15)
- 味覚センサーや多感覚器分析システムを活用したおいしさの評価方法
- おいしさ評価の商品開発、品質管理への応用
- 味覚センサーを用いた碁石茶の分析