高分子材料・製品の長持ち化を科学的に追求することは、製品信頼性、資源問題、環境問題、等の観点から非常に重要である。これらの課題について、高分子製品の劣化度や寿命をなるべく迅速に、的確に判定し、耐久性能を判断することが求められている。セミナーでは高分子に対する各種劣化要因を挙げ、要因ごとにその作用について概説するとともに、各種劣化度評価法について具体例を挙げながら、耐久性能との関係を説明する。
一方、ポリオレフィンの世界でも、その高性能化のための分子設計は重要であるが、汎用品の高強度化のみならず、パイプや大型タンク用などの高性能品の長期機械的耐久性向上のために、力学強度と関係の深いタイ分子を増やすために、材料の設計段階からどのような工夫がなされ、製造されているかについても解説する。
また極初期の劣化を高感度に捉える方法として注目され、本年JIS化された化学発光法 (ケミルミネッセンス) についても、本手法の基本原理と解析法について説明し、高分子の熱酸化、光劣化、機械的劣化、電気劣化などへの応用事例を挙げる。
- 高分子製品の長持ち化の意義 (基本的考え方)
- 高分子製品の劣化度評価
- 高分子のライフステージの科学
- ライフサイクルと劣化因子
- プロセス安定性とサービス安定性
- 高分子の劣化要因;
- 熱機械的劣化 (溶融状態での剪断力等)
- 熱酸化劣化 (自動酸化と劣化)
- 光劣化 (波長と劣化)
- 機械的劣化
- 電気劣化 (電界と構造変化)
- 各種耐久性試験法
- 耐熱性試験
- 耐候 (光) 性試験
- その他
- 高分子の劣化度評価法
- 機械的性質の変化
- 分子構造の変化
- 高分子の寿命予測
- アーレニウスプロットからの予測
- 添加剤処方と耐久性
- 安定剤の種類と作用
- 高分子材料の機械的性能 (衝撃強度、長期耐久性 等) 向上の分子設計
- ポリオレフィンの発見から現在までの技術的発展の歴史
- 発見のセレンディピティ
- 製造法の発展
- ポリオレフィンの結晶・非晶構造について
- 高分子説からラメラ晶まで
- ラメラ晶とタイ分子
- タイ分子の統計的取り扱い、熱力学的取り扱い
- 機械的強度とタイ分子の働き
- LLDPEの高強度化への分子設計
- インフラ製品用HDPEの高性能化の分子設計と製造法
- タイ分子の観点からの高性能化の分子設計
- 高性能品の製造法
- 高分子の劣化評価法としての化学発光法 (ケミルミネッセンス)
- 化学発光の原
- 医学生理学分野、食品分野等への応用例
- 高分子分野での化学発光の歴史
- 文献にみる化学発光研究の変遷
- 高分子の化学発光の測定対象、手法の歴史
- 熱酸化劣化と化学発光
- 自動酸化反応と化学発光
- 酸化反応と化学発光パラメーターの利用
- 光劣化と化学発光
- 機械的劣化と化学発光
- 熱機械劣化 (加工時の押出し、等) と化学発光
- 固体状態での応力と化学発光
- 電気劣化と化学発光
- 高電圧印加時のエレクトロルミネッセンス (EL)
- 低圧DC印加時の発光
- 測定技術の進歩
- 発光の画像化
- 発光スペクトル
- その他