本セミナーでは、海水淡水化の基礎から解説し、淡水化に使用されるポンプと適用、排出高濃度海水からの資源分離・回収について詳解いたします。
~スマートデサリネーション (Smart Desalination) ~
海水淡水化プラントは世界的な人口増加と経済発展の影響で需要は急増しており、今後も大きな成長が見込まれている。 従来の主要な市場は中東およびアフリカの産油国が主体であったが、これらの国は2008年のリーマンショックに端を発したドバイショックより大きく後退した。その後、急回復したものの、成長市場であったアフリカ諸国はジャスミン革命の影響で混乱が続いており、サウジアラビア等の主要淡水化市場でも、その影響を見過ごせない情況となっている。一方、2005年頃より中国、インドといった新興経済国に大型プラントが設置され、新規に市場が形成されたが、濃縮水の排水規制等の環境問題等に直面している。 現在の淡水化方式の主流は逆浸透法であるが、膜技術の改良により造水コストは年々、徐々に下がって来ており、また、膜前処理 (UF/MF) 、加圧浮上 (DAF) といった前処理技術も普及しつつある。更に、膜を利用した新技術として正浸透淡水化、正浸透圧発電の開発も進行しており、これらの技術動向についても紹介する。 水ビジネスの状況も変わりつつあり、これまではプラントのハードの納入が主体であったが、最近は運転・管理を含めた事業全体を受注し、生産水を販売することにより利益を上げる水販売事業に比重が移ってきている。 最後に、淡水化事業の今後の方向を決める要素として電力エネルギーおよび環境負荷の低減、漏水管理、水道料金の徴収といったものがクローズアップされているが、これらを統合したスマートデサリネーション (Smart Desalination) を提案する。
海水淡水化プラントの心臓部にあたるポンプは、プラントを健全に運用するにあたり高い信頼性が要求される。そのため、海水淡水化プラントで使用されるポンプはその用途や目的に応じ最適な設計を行わなければならない。 本講演では海水淡水化プラントに使用されるポンプの種類とその用途から最新の技術動向まで幅広く解説し、ポンプメーカの視点から見る海水淡水化プラントの世界について紹介する。
佐賀大学では海水資源や海洋エネルギーの先導的利用科学技術についての研究開発が行われている。特に、海水の温度差を利用した発電、発電の電力を利用した淡水 (真水) や水素さらに、リチウムの分離・回収が進められている。 一方、大型の淡水化施設 (福岡地区水道企業団) から大量に排出されている高濃度海水から有価資源物質 (塩、ハロゲン、リチウム、金属、希少金属等) の分離・回収技術。更に、環境負荷低減のためのゼロエミッション技術についても共同研究として取り組んでいる。 講演では大型淡水化施設から排出する高濃度海水を利用した有価資源物質の分離・回収技術について、佐賀大学が勧めている研究について解説する。