4H-SiCパワーMOSFETは、高効率なパワーエレクトロニクスへの応用が始まりつつあるが、さらなる性能の向上や、信頼性の改善のためにまだ多くの未解決な技術課題を残している。良好なMOS特性に必要なのは、ゲート絶縁膜であるSiO2と半導体の界面において、電荷を捕獲する欠陥構造の密度を最小化することにほかならない。たったこれだけのことが、一体なぜSiCでは難しいのだろうか?
本セミナーでは、SiCの熱酸化における表面反応過程の理解に基づきながら、その制御のための界面形成プロセスの設計指針を議論したい。酸化剤を酸素とした場合と水蒸気とした場合の反応の違いや、酸化反応に伴うSiO2/SiC界面近傍での局所的なSiO2やSiCの構造変化など、SiCの界面に特有な現象についても解説する。
- SiCパワー半導体の特徴
- パワーデバイスへの期待
- SiCを用いることの利点
- SiCパワーデバイスの現状
- SiCの熱酸化の理解
- MOSFETの動作とゲートスタックの重要性
- SiCと酸素の熱力学
- SiCの熱酸化機構と速度論
- SiC熱酸化によるゲート絶縁膜の形成と問題点
- SiC熱酸化界面近傍での歪み構造の発生
- SiC/ゲート絶縁膜界面欠陥の抑制のための指針
- MOS界面特性と界面欠陥評価の手法
- 理想的なSiCの熱酸化プロセスの設計指針
- 代表的な界面修復の手法とそのプロセス
- 酸素による酸化と水蒸気による酸化の決定的な違い
- 4H-SiCの結晶面による表面構造の違いと界面特性の違い
- SiC用ゲート絶縁膜の課題と将来展望
- SiC MOSFETの動作と課題
- 今後に必要となるSiC用ゲート絶縁膜技術とは?